「1時間、音楽に耳を傾ける」カゲプロが変えた若者の音楽鑑賞文化

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導入

今回は、2010年代前半のVOCALOIDシーンを代表する作品である、じん(自然の敵P)の「カゲロウプロジェクト」について述べていきます。

カゲロウプロジェクト、通称「カゲプロ」は、VOCALOIDを使用した楽曲を起点として、小説、漫画、アニメなどへ展開したメディアミックス作品として知られており、その功績については「中高生を中心に爆発的な人気を得た」「音楽を原作とするメディアミックスを成功させた」「キャラクターと物語を前面に出すプロジェクトものを流行させた」など、様々な視点から既に語られています。

著名な作品として、「カゲロウデイズ」(2011年)が挙げられます。

2ndアルバム『メカクシティレコーズ』(2013年)は、発売初週に約7万6000枚を売り上げ、オリコン週間アルバムランキングで第1位を記録しました。また、同時期に刊行された小説『カゲロウデイズIII -the children reason-』も文庫部門で第1位となっており、VOCALOID楽曲から始まった作品が、音楽と小説の両方で商業的な成功を収めた事例となっています(ORICON NEWS,2013)。

しかし、私が考えるカゲプロの重要な功績は、これらとは少し違います。

カゲプロは、ある楽曲の中に、別の楽曲を聴かなければ解決しない謎や人物関係を残すことで、リスナーを一曲から次の一曲へ誘導し、歌詞や映像に分散した情報から登場人物の関係や物語の時系列をつなぎ合わせながら、アルバム一枚分の時間を一つの作品へ費やすという鑑賞方法を、若者に広く体験させました。

この点において、音楽性こそ全く異なりますが、カゲプロが行ったことは、1960年代後半から1970年代に発展したコンセプト・アルバムやプログレッシブ・ロックが提示した鑑賞方法を、2010年代の中高生へ改めて普及させたものだと私は考えています。