【VALORANT】アナリスト思考型IGL(分析駆動)のやり方
シナリオ(Boaster/ANGE1/Munchkin型)
シナリオは、基本となるシーケンスの中に複数のプロトコルを組み込んだ複合型です。
シナリオでは大筋となるプランを持っていて、例外が起こらない限りは当初のシーケンスを続行します。
一方で、ラウンド中に起こり得る状況を事前に洗い出しておき、特定のシナリオになった場合には元のプランを中断し、そのシナリオ用に準備していたプロトコルを実行します。
2023: LOCK//IN São Paulo、Masters Tokyo 2023で優勝したIGL Boaster(2022)は、Fnaticでは「起こり得るあらゆるシナリオ」について練習・議論し、それぞれに対応する数多くのプロトコルを持っていると説明していたので、本稿ではこの複合型IGLのことをシナリオと呼びます。
当時のコーチであるmini(2022)によると、2021年のFnaticはかなり厳格にプロトコルを定めていた一方、2022年はそこから自由度を増やし、試合中に選手自身が判断する割合を増やしていました。
しかし、その瞬間瞬間に要求される個人判断の量が多すぎたため、最終的には両方の戦い方を組み合わせ、様々な状況へ事前に対応できる状態を作ったと振り返っています。
では、2023 LOCK//IN São Pauloでの例を一つ挙げましょう。
以下のラウンドでは、Ascentの特徴的なAメイン確保デフォルトを見ることができます。
ZERO/POINTに相手が映れば、後続としてFRAG/MENTとフラッシュドライブを使用し、
が勝負します。

対して、ZERO/POINTの効果範囲に相手が映らず、その範囲に敵がいないことを確認できた場合は、後続の2アビリティを消費せず、そのままAメインを取得します。
つまり、
ZERO/POINTに映る
→ 対象エリアに敵がいる
→ FRAG/MENT+フラッシュドライブ+
で勝負
ZERO/POINTに映らない
→ 対象エリアに敵がいない
→ 後続アビリティを温存してAメイン取得
という条件分岐(プロトコル)です。
前者の「対象エリアに敵がいる」場合では、誰がどのアビリティを、どの順番・タイミングで使用するのか、最後に誰が撃ち合うのかまで事前に設計されており、プロトコルによって分岐した先に局所的なミクロシーケンスが存在しているわけです。
Fnaticの特徴は、単に「ZERO/POINTに映ったら戦う」という判断条件を共有しているだけでなく、その条件が成立した後に誰が何をするのかまでシーケンスとして作り込んでいることにあります。
余談ですが、
はプロトコルを利用する上で最強のエージェントです。
他のイニシエーターでは得られない、絶対な確定情報を唯一得ることができるため、取得した情報を条件として次の行動を決めるプロトコルと非常に相性が良いです。
例えばこれが
ではなく
採用であった場合、Aメイン一帯に敵がいるかどうかを確認できないため、「敵がいない可能性もあるけど、とりあえずカーブボールを使用して勝負する」という、敵の有無にかかわらず事前に決めた一連の動きを実行するシーケンスになります。
閑話休題。
このAメインデフォルトも回数を重ねたら当然プロトコルはバレます。
「ZERO/POINTに映ったらFnaticは後続アビリティを入れてくる」と防衛側も理解するため、毎回完全にAメインを空けて無料で取らせるわけにはいかず、ZERO/POINTに映るだけ映りに来る、といった対応も発生します。
そこを逆手に取って、映りに来た相手をAラッシュで仕留めに行くのがFnaticのシーケンスです。
脱線を重ねますが、FNATICは通算勝率71%のBindにおいても新しいデフォルト構成を模索し続けています。
特に2023年には![[サイファー]](https://amboxambo.com/wp-content/themes/amboxambo/assets/images/valorant/agent/Cypher.png)
を採用した構成を使用し、Masters Tokyo 2023で優勝しました。

当時のBindでは2コントローラーがスタンダードの中心にあり、センチネルを採用してもメタの中心だった
が入る程度でした。
その中でFnaticはイニシエーターを削って
を採用しているにもかかわらず、攻撃側の情報取得やエリア確保が著しく重くなることもなく、綿密に計算されたシーケンスとプロトコルを組み合わせることで攻撃を成立させています。