【VALORANT】アナリスト思考型IGL(分析駆動)のやり方
プロトコル(Aleksib型)
プロトコルとは、特定の状況が発生した際や、特定の情報を手に入れた際に、チーム内であらかじめ共有しておく対応方法のことです。
めっちゃ極端に言うと、攻撃時にエリアや情報を取っていた結果、防衛側がどうやらAを5人で守っているっぽいぞ、ということが分かったので、これ以上の情報取りを中止して、最終B攻めでラウンドをフィニッシュする(さすがに極端すぎる例ですが)といったように、繰り返し発生する状況を言語化し、そのケースが起こる度に対応を一から考え直す必要がないよう、あらかじめチーム内で判断基準を揃えておくことをプロトコルと呼びます。
Klein et al.(1986)が時間的制約の強い消防指揮官について調査した研究によると、指揮官が意思決定の根拠として複数の選択肢を同時に比較していたケースは12%未満で、多くの場合は状況を過去に経験した典型的なパターンとして認識し、それに対応する行動(=プロトコル)を選んでいたと報告されています。
消火活動とVALORANTは当然条件が違いますが、大きな判断条件を事前に作っておき、その条件に当てはまったら行動するという発想自体はIGLにもかなり適用しやすいです。
勘違いしやすいのが、単なる臨機応変とは異なることです。
端から見たらその場その場で柔軟に対応しているように見えますが、実際には机上での言語化や議論が大量にあり、その状況になった際の回答が事前に共有されていることが前提です。
VALORANTの例で挙げると、
メタ時代のDRXには、
がアビリティを多く消費したことを確認したらデフォルトを終了し、フィニッシュへ移行する、といったプロトコルが存在していました。
例えば以下のラウンドでは、相手
がネビュラ2個とグラビティウェルを消費したことを確認したため、すぐにBメイン攻めへ切り替えています。
(が、この時代の
は強すぎて、ネビュラのクールタイムが僅か14秒でした。せっかくアビリティを吐かせて即座にBへ攻めたにもかかわらず、結局すぐにB耐えスモークを焚かれて失敗しています。)
※なお、このプロトコルについては、筆者が実際に元DRXのLakia本人へ確認した内容なので、憶測ではなく事実です。
こういったプロトコルの考え方をチーム全体まで広げている代表例が、伝説のIGL AleksibとコーチB1ad3です。
B1ad3(2019)は、チーム全員が同じ視点、同じ分析方法を持ち、同じ状況を同じように理解できる状態を理想として挙げています。
状況認識そのものが5人で揃っていれば、その後のコミュニケーションや決断も早くなるという考えです。
本稿では、こうした状況と行動をチーム全体で共有する考え方を「Aleksib型」と呼びます。
Aleksibについても今回は覚えなくて大丈夫です。
さらにB1ad3(2026)は、同じ選手・スタッフ編成といったラインナップで長期間活動する強みとして、自分たちが構築しているプロトコルの量が非常に多いことを挙げています。
つまりプロトコルは数個覚えて終わりではなく、同じメンバーで実践、フィードバック、修正のPDCAを繰り返す中で共通認識・知識として蓄積されていくため、長く一緒に活動しているメンバーほど優れた連携を取ることができます。