70年代ロックから受け継がれ、アニソン、VOCALOIDをつなぐ曲構成「アジカン・wowaka形式」

これの続き

導入

今回取り上げるのは、次のような構造です。

イントロ-A-イントロ回帰部-A-B-サビ

ASIAN KUNG-FU GENERATIONwowakaの楽曲で、この構造が繰り返し使われていることから、本記事では便宜上、「アジカン・wowaka形式」と呼びます。

ここでいうイントロ回帰部とは、曲の冒頭で提示されたイントロと同一、または類似したフレーズが、Aメロの後に再び現れる部分を指します。

曲の途中にあるため、「2回目のイントロ」という表記は適切ではないと考え、本記事では、冒頭のイントロへ戻る部分という意味で「イントロ回帰部」と呼ぶことにします。

一般的な「イントロ-A-B-サビ」という構造では、曲はイントロからサビへ向かって直線的に進みます。

一方、アジカン・wowaka形式では、Aメロの後にすぐBメロへ進まず、一度イントロのフレーズへ戻ります。つまり、曲が先へ進みながら、一度出発地点へ戻る構造になっています。

イントロ回帰部が生む効果

イントロ回帰部には、主に二つの効果があると考えています。

一つ目は、イントロのフレーズを楽曲の中心的なモチーフとして強調できることです。

通常、イントロは歌が始まるまでの導入として一度だけ使われます。しかし、Aメロの後にもう一度提示することで、イントロのフレーズは単なる導入ではなく、歌のセクションと並ぶ主要な構成要素になります。

二つ目は、Bメロやサビへの到達を意図的に遅らせられることです。

Aメロの後にそのままBメロへ進むのではなく、イントロ回帰部と二度目のAメロを挟むことで、サビまでの距離が長くなります。その間にイントロとAメロをもう一度聴かせるため、サビへ到達した際の展開をより大きく感じさせることができます。

したがって、この形式は単にイントロを再利用しているのではなく、イントロの印象を強めながら、サビまでの期待を蓄積する構造だと考えられます。