70年代ロックから受け継がれ、アニソン、VOCALOIDをつなぐ曲構成「アジカン・wowaka形式」
アジカン・wowaka形式の縮小と今後
2010年代後半以降、ヒット曲の短尺化と展開の高速化が進みました。イギリスのチャート1位獲得曲を比較した調査では、平均演奏時間が1998年の4分16秒から、2019年には3分3秒まで短くなっています。また、Klimmtら(2024)は、1986年から2020年までのヒット曲を分析し、近年ほど楽曲全体が短くなり、歌い始めまでの時間も短くなっていると報告しています。つまり、印象的なイントロを置かず、短い導入ですぐに歌へ入る楽曲が増えているということです。
アジカン・wowaka形式は、Aメロの後にイントロ回帰部と二度目のAメロを挟むため、サビまでの時間と楽曲全体の尺が長くなりやすい構造です。そのため、短時間で展開する近年の楽曲とは相性が悪く、2010年代前半までと比べて同形式を完全な形で採用しにくい環境になりました。
今後も完全な形で使われる機会は限られる一方、イントロ回帰部を短縮する、二度目のAメロを省略するといった変形で残る可能性があります。また、現在では珍しい構造になったからこそ、あえて使用すれば、イントロが回帰する展開を強く印象付けることもできます。

アジカン・wowaka形式の歴史をたどることで、楽曲の構造は作曲者の好みだけでなく、ジャンルや媒体、時代によっても変化することが分かります。こうした構造を知ることは、楽曲同士の共通点や、ある展開が印象に残る理由を考え、音楽をより深く楽しむための手掛かりになります。
アジカン・wowaka形式が使われている楽曲
最後に、アジカン・wowaka形式を確認した楽曲を紹介します。
年代やジャンルを問わず、イントロ回帰部や間奏的な経過句がどのように使われているのか、実際に聴き比べてみてください。
★宣伝
筆者が制作した以下の楽曲にも同形式が採用されているので、どのように使われているのか是非聞いてみてね☆
参考文献・出典
- UNIVERSAL MUSIC JAPAN『JUST LIKE HONEY ~『ハチミツ』20th Anniversary Tribute~』ASIAN KUNG-FU GENERATION
https://sp.universal-music.co.jp/compi/hachimitsu20/asikan.html - 「kz(livetune)× wowaka(ヒトリエ)対談――ロックスターの不在と初音ミクが歌い続ける理由」KAI-YOU
https://kai-you.net/article/18542 - 音楽ナタリー「wowaka(ヒトリエ)×DECO*27対談」
https://natalie.mu/music/pp/wowaka_deco27/page/3 - 「野暮」REISSUE RECORDS
https://reissuerecords.net/diary/%E9%87%8E%E6%9A%AE/ - PRS for Music(2019)「Song length: the Spotify effect」
https://www2.prsformusic.com/m-magazine/features/song-length-the-spotify-effect - Klimmt, C. et al.(2024)“Catering to the impatient digital listener: Accelerated composition patterns in popular music, 1986–2020,” Convergence, 30(3).
https://doi.org/10.1177/13548565231208918