70年代ロックから受け継がれ、アニソン、VOCALOIDをつなぐ曲構成「アジカン・wowaka形式」

アニメ音楽/ネット・同人音楽における展開

2000年代のアニメ音楽/ネット・同人音楽においても、アジカン・wowaka形式に近い構造を持つ楽曲が時折採用されるようになります。

その早い段階の代表例が、『東方紅魔郷』に収録されたZUN「亡き王女の為のセプテット」(2002年)と、テレビアニメ『らき☆すた』のオープニングテーマ「もってけ!セーラーふく」(2007年)です。

特に「亡き王女の為のセプテット」は、原作の楽曲をもとに数多くのアレンジ作品が制作され、ニコニコ動画や同人即売会を通じて独自の音楽文化を形成しました。そのため、「亡き王女の為のセプテット」で用いられた構造も、原曲だけでなく、さまざまなアレンジを通して繰り返し聴かれることになります。

その後、アニメソング分野では、川田まみ「PSI-missing」(2008年)、「No buts!」(2010年)や大槻ケンヂと絶望少女達「林檎もぎれビーム!」(2009年)など、アジカン形式を採用した楽曲が続きました。

両曲は、特にロック/ヘヴィメタルの影響が色濃い作品です。「PSI-missing」と「No buts!」の作編曲を担当した中沢伴行は、若い頃からヘヴィメタルを聴き、Megadethのコピーバンドで演奏した経歴を持ちます。

Megadethの楽曲でアジカン・wowaka形式が使われている例:

また、「林檎もぎれビーム!」の作曲・編曲を担当したNARASAKIは、1980~90年代のロック、メタル、パンクなどから幅広い影響を受けた日本のロックバンド、COALTAR OF THE DEEPERSで、作曲・編曲とギターを担っています。

COALTAR OF THE DEEPERSの楽曲でアジカン・wowaka形式が使われている例:

このようにアニメソングでは、VOCALOID音楽で広く使われる以前から、ロックやヘヴィメタルの影響を受けた作曲家によって、アジカン・wowaka形式がしばしば用いられていました。