【Vertigo 第1回】Astralis vs Liquid から考える、Major: Berlin 2019 でのスタンダードとメタ

はじめに

アンボと申します。

突然ですが、皆さんは Vertigo は好きですか?
僕は嫌いです。
なぜなら、MMで回すと、Absolute や Ignis のメンバーとよく当たるからです。致死

過疎マップか???

閑話休題。
Vertigo は幾度となくアプデを重ね、その姿を変化させてきました。
その度に戦法も大きく変わり、このメジャー前にも大々的なアプデが実装されたことで、各チームがどんな戦法を見せるのか、個人的にワクワクしていました。
その中で、やはり一番注目されていた試合は、世界ランキング4位の Astralis(以下、Ast) vs 世界ランキング1位の Team Liquid(以下、Liq)でしょう。

この記事では、なぜ Ast がなぜ勝ったのかをベースに、Major: Berlin 2019 での Vertigo のメタや、勝利に繋げるデフォルトの攻め方・守り方について、忘備録的に記していきます。

 

前提知識

マップ知識

出入口の数
Aサイトは1つ、ミッドは基本的に2つ、Bサイトは基本的に1つとなっています。
プロレベルの試合では、この出入口を巡って戦闘が起こり、そして次にサイトで爆弾を巡って戦闘が起こります。

A坂
ここで AWP の 1on1 勝負がよく起こります。
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Renegades vs G2 では、jks と kennyS の削り合いがよく見られましたが、Ast vs Liq では、Xyp9x が毎回フラッシュを投げてケアしていたので、このポジでの戦闘は起こりませんでした。

ここにCTのアサルトライフルが絡んでくる場合は、土嚢や足場を用いてのプッシュがよく見受けられます。

Renegades がA坂を3人で抑えている例f:id:amboxambo:20190909225552j:plain

Renegades がA坂を完全に抑えた例
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ミッド エレベーター
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ミッド ハシゴ部屋
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プロレベルでは、ここで大きな戦闘が起こることはほとんどありません。
ゆえに、唐突なラッシュがメタとして強く働きます。

Liquid のミッドラッシュの例
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B階段
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ラウンド初手にCTベースからB階段に投げれるスモークがあり、これが非常に強いです。
また、ラッシュもモロトフ1つで止まってしまうため、B階段はA坂と違い、CT有利な場所となっています。

※A坂にも初手に入れることができるスモークがありますが、少し遅い、Tのデフォルトの攻め方がAセットなどの理由により、CTがA坂を奪取しても維持できないため、CTがA坂を取るメリットは、B階段を取るメリットよりは小さいです。
ただし、ラウンド中盤〜終盤におけるA坂の奪取はかなり重要です。(詳細は後述)

 

Tの攻め方

Aセット
2〜3つスモークを炊き、サイトに残ったりプッシュしてくるCTをケアするため、状況に応じて2〜3箇所燃やします。

Aセットの例
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Aセットのカウンターでよく使われるポジ。要注意案件。
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ただ、設置する頃にはスモークが晴れてしまうので、設置する人がスモークを予備で残す必要があります。

Bセット
2〜3つスモークを炊き、Bサイトを燃やすことで、敵を分離させることができます。
1試合に1回見れるか見れないかくらいレアです。サイト中から敵を追い出すことができたら強いです。
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ミッド経由
ミッドは弱め・引き目だったり、AやBは前目で守ってくる敵に対して有効です。
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挟み
どちらかのサイトで大きなアクション(ボムを見せたり、セットスモークなど)をして、敵をサイトに寄らせた後、ミッドからラークを発射させます。
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以上!w
多分、有名なのはこれくらいでしょう。簡単やね。

攻め方の基本的な考え方としては、
・A坂は、CTが複数人でプッシュしてこない限り、最終的にTが取れる。
・B階段は、初手にCTが取ってくるため、リテイクが必要。(=CT有利な Inferno のバナナ)
・ミッドは、取っても取られても戦術に影響することは稀で、T・CT共に取らないのがメタ。

以上のことをまとめると、
「CTにA坂やB階段を抑えられると、本命を確定されてしまう」
Ast vs Liq では、これが分かっているか否かが勝敗の鍵を握っていたかと思われます。
では、実際の試合を通して見てみましょう。

 

事例

まずは Liq の攻め方です。

 

17ラウンド目

Astralis vs Liquid StarLadder Major Quarter Final Map 1 Vertigo

2-1-2 の詰め待ち配置から、4-1-0 のA攻めに変更後、A坂で戦闘が起こります。
その後、Liq はBへ切り返しますが、B階段を前目で抑えていた dupreeh に壊滅させられます。

このラウンドは、CTがA坂やB階段を抑えると、本命を確定できることを理解していた Ast 側に軍配が上がったと言えるでしょう。
もし、Liq がA攻める際に 3-1-1 配置を取っていれば、dupreeh のプッシュに対抗できたかもしれません。
※そもそもこのラウンドは、3-1-1 配置だとCTのA坂プッシュに壊滅させられますが、Ast の今後の裏取りやプッシュを抑制することはできたかもしれません。

ちなみに他のラウンドもよく見てみると、Liq は詰め待ちをする際も、必ずどこかに穴を空けています。(その理由は、本隊のカバーでTベースからフラッシュを投げているからであって、わざわざ穴を空けているわけではない。この作戦が裏目に出て、19ラウンド目の Magisk プッシュを誰も見れていない結果になった)

この後、Ast は全てのラウンドにおいてA坂、B階段へのプッシュをし、どちらが本命か確定させています。
これを対策できなかった Liq は、敗北して然るべきでしょう。。。

次に、Ast の攻め方です。

 

2ラウンド目

Astralis vs Liquid StarLadder Major Quarter Final Map 1 Vertigo

ただのエコラウンド????
いいえ、今後のラウンドで非常に重要なラウンドです。
全ての戦闘において、アサルト相手に1人ずつ削られていますが、
注目する点は、敵を削る行為ではなく、配置を見ている点です。

まず、A坂の Xyp9x がキルされ、他のメンバーはこの間にA坂・ミッド・B階段の詰め待ちを見ています。
その後、ミッドで2人キルされ、A坂の gla1ve がキルされた間も、dupreeh はミッドやハシゴ部屋の詰めを見ています。
なぜ味方が詰めて死んでいるのに後ろを見ているのか。
Tがどこかプッシュした時に、CTが裏のどこをプッシュしてくるかどうかを見ている。

ではこのラウンドを踏まえた上で、次のラウンドを見てみます。

 

3ラウンド目

Astralis vs Liquid StarLadder Major Quarter Final Map 1 Vertigo

3-1-1 で詰め待ちした後、1:25 にA坂が取れるも、未だにハシゴ部屋とB階段で詰め待ち。
0:45、Magisk が再びB階段プッシュを軽く見るが、誰もいない。
0:40、Aセット。
0:30、爆弾を見せる。

重要な点
・爆弾を見せた後、Magisk、Xyp9x が交互に後ろのプッシュをずっとケアしている点。
dupreeh が爆弾を貼らない点。

このラウンドで何をしているか
わざと爆弾を貼らないことで、
後ろはどのタイミングでプッシュしてくるのか見ている。
Liq のAセットカウンターはどういった作戦か見ている。
→2ラウンド目で1人も削ることができなかったので、敵はお金を持っており、焼夷グレネードを持っていることも事前に予想できている。

以上の2、3ラウンド目で、Ast は以下の情報を手に入れることができました。
・Aサイトはリテイク前提の引き守り。
・Aセットした際は、サイト中に1人残り(上述した位置)、サイトの真ん中を燃やしてくる。
セットや爆弾を見せても、後ろをプッシュしてくる気配が全くない。
もしかして、そもそもB階段は取ってこない?
(=4ラウンド目のエコで、Bの状況を確認する)

 

これを踏まえた上の5ラウンド目です。

Astralis vs Liquid StarLadder Major Quarter Final Map 1 Vertigo

3-1-1 で詰め待ち。その後、4-0-1 でA坂を侵攻し、0:40 でAセット。
3ラウンド目で敵がサイトに残っていたポジションを燃やし、フラッシュを投げてサイト内をケアします。
そして、3ラウンド目で敵が燃やしてきた場所を避けて爆弾を貼る
この間も、dupreeh がずっと後ろを見ているのも重要な点です。

1ラウンドだけプッシュしてこなければ偶然だと思われますが、
2〜5ラウンドもの間プッシュしてこなかったとなれば、必然と言えるでしょう。

この情報を手に入れた Ast は、後は自分たちの作戦を好き勝手に押し付けるだけです。

 

8ラウンド目

Astralis vs Liquid StarLadder Major Quarter Final Map 1 Vertigo

Bセット。1分もの間、B階段で準備をしていますが、Liq がAもBもリピークして確認しないため、どっちが本命か分かっていません。目の前にいるのに。

ここで注目して欲しいのは、裏取りを警戒してハシゴ部屋で孤立している Xyp9x。

理由
①Liq の傾向として、イレギュラーで稀に NAF がミッドをプッシュしてくるため。
②ミッド経由でBリテイクをしてくる敵をキルするため。
誰もいなければラークやスプリットができるため。

今回、Xyp9x は誰とも会敵しなかったため、最終的に③を選び、敵の最後尾から奇襲を仕掛けました。

ただのB攻め・Bセットの場合も、ミッドを有効的に使えば、後ろから挟むことができることが分かるラウンドでした。

 

余談

ラークではないですが、10ラウンド目でも Magisk がミッド→CTスポーン経由でBサイトを挟み込んでいます。

その後、Liq が対策として12ラウンド目に前目プッシュ、13〜14ラウンド目に nitr0 がミッド前目に AWP を置くなど配置に変化はありましたが、根本的な解決にはなっていないと思います。

 

考察

Ast の勝利に学ぶ、デフォルトの戦術とは

前提:無償でのセットを最終目標と考える。

 

敵がどこまで詰めてくるかを確認する。

・試合序盤(2〜5ラウンド目くらい)に、3-1-1、もしくは 2-2-1 配置の詰め待ちで、敵はA坂、B階段、ミッドのどこを熱く取ってくるのかを確認する。
・AやBでアクションをかけた際、後ろはどこまで詰めてくるのか確認する。
→この確認を怠ると、ふとAからBへ切り返した時に事故が起こる。
→Inferno でバナナを取っていないのにBへ切り返すようなもの。理にかなっておらず滑稽。
・ラウンド序盤にA坂、B階段のどちらかを取った際、ラウンド中盤〜終盤に敵はそこをリテイクしてくるのか確認する。
→リテイクしてくるような敵なら、せっかくB階段を取ってAに行っても、Aセットする前に本命がバレてしまう。

 

敵がプッシュしてくるようなら、必ず対策しなければいけない。

〇敵がラウンド序盤にプッシュしてくる場合。
ラウンド中盤〜終盤にてリテイクする。序盤に詰めてきて場所を取っても意味がないことを分からせる。
いかに無償でA坂、B階段を取れるかの場作りをする。
 例)Renegades のようにA坂を大人数で取ってくる場合は、今後のラウンドのためにミッドを熱く取り、敵の基本配置をA坂から遠ざけるなど。
・ラッシュを組み込み、敵を後ろ目に守らせる。

〇敵がラウンド中盤〜終盤にプッシュしたり、取られた場所をリテイクしてくる場合。
・本命とは反対の場所に、プッシュ狩り(=ラーク)を用意する。
・本命の場所で、敵がプッシュしてくるのを待つ。
 例)Ast の8ラウンド目
・本命の本隊が詰める時間をランダムにする。
 例)Ast がセットスモークを投げる時間は、1:25〜0:35の間でバラバラである。

〇敵がプッシュせず、基本の詰め待ちをしている場合。
安全なA坂の攻め方を周知徹底。
理由:
⑴Aセットする前に人数が削られてしまうと、投げ物が足りなくなるため。
⑵A坂を取るのに時間をかけたくないため。
 例)Xyp9x のA坂の攻め方(敵の AWP を引かせるためのフラッシュ)、device のA坂でのAWPの置き方(こちらから勝負せず、向こうが不用意にピークしてきた所を狩る姿勢)

〇本命Bの場合も、A坂やミッドは取れるなら取っておいた方がいい。
・何度もAセットをしたならば、A坂を取るだけでAの可能性を示唆させることができる。Mirage や Train と違って、セットするためにはA坂を取ることが必要なため。
 例)Ast の9ラウンド目の Xyp9x。
CTにA坂やB階段を抑えられ、本命を確定されることを抑制させるため。
ラウンド終盤の少人数戦のために、ミッドを取っておくと戦術が広がる。
例)Ast の8ラウンド目の Xyp9x、10ラウンド目の Magisk。

 

Liquid の敗北に学ぶ、CTの守り方で重要な点

①前目で守るチャンスがあれば、前目に詰める。

ラウンド中盤〜終盤に、サイトのどちらかが以下の守り方をすることができれば、敵の本命を絞ることができ、ラウンドの勝率はグッとアップすることだろう。
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具体的には、
Aは、AWP1人でA坂のロングを抑える。引くことができるのが強みのポジなので、フォークリフトまで覗いてキルを狙う必要はないスモークはあってもなくてもいい。サイトからフラッシュのカバーがあれば尚良し。
Bは、スモークを炊いて、階段周りで維持する。スモークが晴れても、階段で待機するのもアリ。サイトの青箱から矢印の方向に狙ってフラッシュを投げると、味方には食らわず、敵に食らうフラッシュが投げれる。ラウンド中盤〜終盤に必ず一度はここで戦闘を起こすことが重要。なぜなら、例え詰めなくとも、中盤〜終盤にここにスモークを焚くだけで、CTがまたB階段を取りにきたと思わせることができるため。

なぜAよりBの方がスモークが重要なのか。

→Aは後ろ目でもA坂の敵を視認できるが、Bは前目で守らないとB階段に侵入した敵を視認できないため。

今大会では、Ast の他に mousesports のB階段、ミッドプッシュ、Renegades のA坂プッシュなどが印象的であった。

余談だが、Inferno のように、A守りの人はB階段にスモークを投げてあげるのもアリかもしれない。それくらい、A坂よりB階段のスモークは重要であると思う。たぶん。(小並感)

 

②A坂、B階段を取られた後の「再ピーク」や「リテイク」が必要。
・ラウンド中盤〜終盤の、情報取りのピークがかなり重要
 例)Ast の18、23、24ラウンド目の device、21ラウンド目の gla1ve と Xyp9x。

→どんなものかは、ご自身でデモを DL して見て下さい。

・Liq vs Renegades の25ラウンド目参照

Bセットフェイク、Aフェイク、B。
もしBセット来た時点でA坂にピークできていれば、
Bセット後にAセットが来た時点でB階段にピークできていれば、
敵のフェイクに惑わされることなく、このラウンドを落とすことはなかっただろう。

Liquid vs Renegades | Vertigo | BLAST Pro Series Los Angeles 2019

結局、この試合は勝つのだが、このラウンドの反省点を Ast 戦で活かせたら、Ast との勝敗は違ったものになっていたかもしれない。

 

課題

〇ミッド熱い敵に対してどう対処するのか。
対策案:
①Cache のようにミッド引き目→Aメインに逃げる。
②Mirage のように、ミッドを3人以上で撃ち合う。

2019月9月13日追記:

解答例を導き出しました。

 

展望

宴出ます。
ここで出した結論が通用するのか、これから検証していきたいなと思います。
対戦する方は、どうぞよろしくお願いします。

ちなみに、Pick’Em は当然クリスタルでした!w
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追記

時間があれば、これもいつか解説して忘備録に追加したいです。

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