【VALORANT】ACSより目立っている「Rating」って何者?
VALORANTの大会結果を調べていると、VLR.ggの成績表で、ACSよりも左側に「Rating」という項目が置かれているかと思います。

ゲーム内のリザルトではACS順にプレイヤーが並んでいるため、「キル数が一番多い人が一番上に来るとは限らない」「ACSが高いほどスコアが高い扱いになる」ということは、なんとなく理解していることでしょう。
ところが、大会の成績表を見ると、ゲーム内では見かけないRatingとかいう謎の指標がACSよりも目立つ左側に偉そうに載っています。
しかしながら、どれくらいこの数値が高ければ良いのか(そもそも高ければ良いのか?というところから始まる)、ゲームをプレイしているだけでは分からないです。
今日はこのRatingについて解説していきます。
同じACSでもRatingが違う理由
VLR.ggでRatingの解説を執筆したFerahgoTheGreat(2022)によると、Ratingはキル、、アシスト、デス、ダメージなどの情報から、選手が試合に与えた影響の大きさを一つの数値にまとめた指標と説明しています。
特徴的なのは、戦闘が発生した時の状況も考慮していることです。
例えば5対5から一人倒す場合と、5対1で最後の一人を倒す場合では、同じ1キルでも評価の重みが変わります。
装備差やトレードの有無なども考慮されるため、スコアボード上では似た成績でも、Ratingが同じになるとは限りません。
ざっくりまとめるなら、試合における活躍指数みたいな感じです。
具体例として、上で載せているVCJ 2026 Season Finalsの大会成績を見てみます。
Ratingで一番上にいるのはSeoldamで、1.36。
ACSも288と横浜ランドマークタワーくらい高く、この大会で超新星爆発を引き起こしていたことが数字からも伝わります。
2番目には、大会を優勝したQT DIG∞のmargaretが、Rating 1.23で並んでいます。
しかしACSを見ると239で、これはRating順では13番目にいるFENNEL Halsと同じです。
同じQT DIG∞のPkmもACSは232と比較的近いものの、Rating順では10番目です。
先述の通り、ACSが近い選手の中でも、このようにRatingでは差が付くことがあります。
説明されなくても読める界隈がある
まあ、だいたいこういう指標だと分かったところで、じゃあなんで特に説明もなく偉そうに一番左にいるのか、という疑問は残ると思います。
ちなみにこのRatingの数字を説明なしでもだいたい理解できる界隈があります。
それがCounter-Strike界隈です。
VALORANTには、同じ5v5爆破FPSのCounter-Strikeの競技シーンから移ってきた選手が数多くいます。
Counter-Strikeでは、HLTVっていうほぼ公式と言っても過言ではない競技情報サイトによって、2010年から独自のRatingが使われていました。
ちなみにRating指標という文化を作ったのが、このHLTVです。
こういった背景があり、大多数の人がパッと見で強さが分かる指標として、ACSより強調されて置いてあるんでしょうかね!(知らんけど
余談ですが、年始になると、HLTVによって前年のトッププレイヤー20人が発表される恒例行事があります。
2019年のTop 20には、その後VALORANT Champions 2023と2025を優勝し、史上初めてChampions 2冠を達成することになるEthanがランクインしています。
VALORANTからEthanを知った人には、少し意外かもしれません。
さらに脱線しますが、VCT 2022 Masters ReykjavíkでZETA DIVISIONがTeam Liquidに勝った試合を「歴史的快挙」と称される背景にも、この過去の記憶があります。
なぜならば、その相手にはHLTV Top 20の2013年と2016年にランクインしていたScreaMがいたからです。
CounterStrike時代では太刀打ちできなかった超絶格上の選手です。
そのScreaM相手に日本シーンが届いた瞬間だったことまで含めて衝撃があったわけです。
閑話休題。
このように、Counter-Strikeを見てきた人には、ACSよりもRatingの方が直感的に活躍度を理解しやすいという背景があります。
強かった選手や印象的だった大会の記憶とRatingの数字が結び付き、比較対象として頭の中に蓄積されているわけです。
私もその一人で、SeoldamのACSが288って言われるより、Rating 1.36と言われる方が「常に5対4だったんだな」とすぐに分かります。
実はVLR側も、その感覚を意識して作っており、FerahgoTheGreat(2022)によると、VLRのRatingはHLTV Rating に近付けることで、FPSファンが良い成績かどうかを判断しやすくしていると解説しています。
HLTVのRating 2.0を式で見る
ちなみに、計算の中身に興味がある人向けに、HLTV Rating 2.0の近似式を共有しておきます。
0.0073×KAST + 0.3591×KPR + -0.5329×DPR + 0.2372×(2.13×KPR + 0.42×APR-0.41)+ 0.0032×ADR + 0.1587 = Rating 2.0
なお、これをそのままVALORANTに流用するのは難しいです。
両ゲームではダメージやアシストが生まれる条件が異なり、VLRも独自の評価方法を使っています。
実際、FerahgoTheGreat(2024)は、VALORANTのパッチによってアシストが増え、Ratingに影響したことを説明しています。
VLR Rating 2.0ではアシストの重みを下げるなどの調整が入っており、ゲームの仕様に合わせて評価方法も見直されています。
nAtsとChronicleで1.26、Lazで1.27
以下、余談パート
例えば、2021年のMasters Berlinでは、優勝チームGambitの伝説のラーカーnAtsとスイーパーChronicleは、共にRating 1.26です。
これを私が比較対象として思い浮かべるのは、同じく伝説のラーカー・スイーパーのcoldzeraです。
coldzeraは2017年のHLTV Top20で1位に選出されており、大規模大会での年間Ratingは1.24でした。
あのcoldzeraで1.24。
それを頭に入れた状態でnAtsとChronicleの1.26を見ると、coldzeraを超えた活躍を出していたんだ!
と、一気に活躍の大きさを想像できるわけです。
※もちろんcoldzeraは年間を通した成績、二人はBerlin一大会なので、単純比較には使えませんが、数字を見てどれくらい驚けばよいのかは伝わると思います。
ちなみに、同大会のACSを見ると、nAtsが258、Chronicleが225です。
ACSにはこれだけ差があるのに、Ratingは共に1.26になっています。
ACSだけでは違って見える二人の活躍を、Ratingがあることで別の評価方法から見ることができるわけです。
そして、この1.26を数字の上でさらに超えていたのが、Champions 2022のLazで、Rating 1.27です。
チェンバー全盛期の頃ですね。
Campions 2022のLazと言えば↓
国際大会で日本人が残した最も高いRatingがこの1.27になります。
日本人選手が国際大会でこの数字を残していて、しかもそれがChampionsというのが本当にすごいです。
VALORANTからRatingを知った人は、この1.27を一つの基準にしてもよいと思います。
見覚えのある選手の活躍と数字を結び付ければ、そこからRatingの感覚が作れます。
1.30を超えると星系破壊
大会を通してRating 1.30を超えてくると星系破壊です。
Counter-Strikeで例えると、s1mple、ZywOo、donkといった選手の活躍度に近いです。
味方が絶対に1ピック取られてしまうブラックホールが相手にいる感覚です。
2023年のMasters Tokyoで優勝したFNATICにはこれが二人おり、Alfajerが1.33で大会1位、Leoが1.31で2位でした。
しかも3位には、同じチームのChronicleが1.19で並んでいます。
ただ、この二人の強烈さをACSだけで理解しようとすると、印象が変わります。
AlfajerがACS 228、Leoが203なので、特にLeoの数字はACSだけを見ていると活躍の大きさを見落としてしまいそうです。
ここで、そもそもRatingが何を評価しているのかという話につながります。
ACS 203という数字からでは気付きにくかったLeoの成績に、Rating 1.31を見て「何故こんな数字になったんだ」と興味を持つ。
そこから試合を見直せば、単にキルが多かった人を探す時とは違う見方ができるはずです。
1.40は過去改竄
そして、さらに未知の数字を出したのが、Masters London 2026のprimmieで、Rating 1.40です。
ここまで来ると、Sunset異聞帯から現れた未来のVALORANT星人による過去改竄です。
ちなみに私は本大会終了後、primmieにその週末開催の第67回宝塚記念の予想を聞きに行き、無事120円を獲得しました。なので未来人なのは本当です。ってかこのエピソードは本当です。
アジアで一番撃ち合いが強い説がずっとありましたが、この一大会でその噂は現実になりました。
私にとってRatingは、こういう驚きを得るためにも便利な指標です。
計算方法のすべてを暗記していなくても、過去に見てきた選手のRatingを覚えていれば、新しく見つけた選手や、見逃した大会の成績に反応できます。
最初は意味不明だった1.27も、あの時のLazを思い浮かべられるようになれば、次からは読み方が変わると思います。