VOCALOID

まえがき

私は音楽が好きだ。

その中でも、VOCALOIDというジャンルには特別な感情がある。だからこそ私は、VOCALOIDというシーン、あるいはジャンルが、少しでも長く残ってほしいと思っている。

ポピュラー音楽の歴史を見ると、長く残るジャンルは、表面的な音色や一時的な流行だけで成立しているわけではない。そこには、ルーツへの理解、時代に合わせた再解釈、次の世代が参照できる言葉としての記録、そして新しい作品として更新され続ける営みがある。

私が今のVOCALOIDに対して抱いている不安は、そこにある。

VOCALOIDは今も新しい曲が生まれ続けている。技術も更新され、キャラクターも生き続け、作家も次々に現れている。だが、VOCALOIDの音楽性がどこから来て、何を受け継ぎ、どこへ向かっているのか。VOCALOIDという文化がポピュラー音楽史の中でどのような位置にあるのか。そこまで踏み込んで語られる機会は、まだ多くないように感じている。

VOCALOIDがこれからも新しい音楽であり続けるためには、過去の文脈を理解し、それを現在の表現として作り直す必要がある。

この一連の記事は、ボカロというシーンが少しでも長く残るための一種の問題提起である。そして、これから生まれる音楽が単なる流行ではなく、次の誰かのルーツになるために、私はこれを記す。

これは私の創作信条であり、これから作る音楽・文章・作品すべての出発点である。

概要

VOCALOIDは、J-Popから派生し、2000年代後半以降の日本のインターネット文化と共に発展したポップスの一種として整理される。

その最たる特徴は、メインボーカリストに合成音声ソフトウェアを起用している点にある。また、合成音声ソフトウェアを機械的に活用した楽曲や、アイドル文化やアニメ文化とも密接に結びついていることから、その存在の精神性に焦点を当てたコンセプト志向も特徴的である。

音楽的には、印象的なリフがフィーチャーされることも多い。wowakaやかいりきベアをはじめ、「リフ | A | リフ | A | B | C」といった特徴的な楽式が見受けられる点も、VOCALOIDの音楽性を考えるうえで極めて重要である。

黎明・メルトショック期

発祥:2000年代後半 日本
中心時期:2007年〜2010年頃

成立条件

VOCALOID第1世代は、合成音声ソフトウェア、DTM環境、動画投稿サイト、キャラクター文化が結びつくことで成立した、初期VOCALOIDシーンである。

2003年、ヤマハ株式会社が音声合成ソフトウェア「VOCALOID」を発表した。翌2004年には、イギリスのZERO-G社から「LEON」「LOLA」が一般向けに発売され、同年11月には日本のクリプトン・フューチャー・メディア株式会社から、初の日本語ライブラリである「MEIKO」が発売された。

特にMEIKOは、当時のDTM市場において異例のヒットを記録し、キャラクターイラストを用いたパッケージ展開も後の製品群へ影響を与えた。ただし、この時点では、後の初音ミク以降に見られるような、動画投稿文化・二次創作文化・キャラクター文化を巻き込んだ大規模なムーブメントにはまだ至っていなかった。

転機となったのは2007年8月31日、クリプトン・フューチャー・メディアから発売された「初音ミク」である。本来は音楽制作ツールの一つに過ぎなかった合成音声に、明確なキャラクター性を付与し、「バーチャルアイドル歌手」として位置づけたことで、従来の音楽制作者層だけでなく、オタク層にも広く受け入れられた。

© ™ Crypton Future Media (Public domain)

さらに、動画投稿プラットフォーム「ニコニコ動画」をはじめとする以下の複数の基盤が同時期に登場し、それぞれが異なる役割を担いながら相互に接続したことで、VOCALOID文化の発展を複合的に支えていった。

© Nico Nico Douga (Public domain)
  • 動画投稿プラットフォーム「ニコニコ動画」
    2006年12月12日にサービスを開始。楽曲、動画、コメント、派生作品が一体となって共有・拡散される場として機能した。
    • イラスト投稿プラットフォーム「pixiv」
      2007年9月10日にサービスを開始。初音ミクやVOCALOIDキャラクターのファンアートが共有される場として機能し、VOCALOIDの視覚文化を支えた。
    • 投稿・共同制作プラットフォーム「Piapro」
      2007年12月3日にサービスを開始。楽曲、歌詞、イラストなどの素材を投稿・共有し、クリエイター同士が互いの作品を利用しながら新たな創作へつなげていく場として機能した。また、同日に二次創作に関するガイドラインも公開され、初音ミクを中心とする創作活動の権利面を支える基盤にもなった。
    • 3DCG動画制作ツール「MikuMikuDance」
      2008年2月24日に公開。VOCALOID文化を、音楽だけでなく映像表現やダンス表現へ拡張する基盤となった。
    • 匿名掲示板「2ちゃんねる」
      1999年5月頃に開設され、同年5月30日に開設が報告された匿名掲示板。派生キャラクターやミーム的な二次創作が生まれる場となり、VOCALOID文化のキャラクター的な広がりに関与した。

    精神性

    VOCALOID第1世代の精神性は、日本のアイドル文化の文脈と強く結びついている。

    © ™ Project iM@S/Bandai Namco Entertainment (Public domain)

    特に、育成シミュレーションゲーム『THE IDOLM@STER』に代表される「アイドルをプロデュースする」という感覚は、初音ミクを“歌わせる”だけでなく、“プロデュースする”というVOCALOID文化の形成に大きな影響を与えた。作曲家は単に楽曲を制作するだけではなく、初音ミクという仮想の歌手にどのような歌を歌わせ、どのようなキャラクターとして見せるのかまで含めて作品を構築するようになった。

    この初音ミクを中心とした「プロデューサー的視点」でのファン文化は、後に「ボカロP」という呼称や作家像へとつながっていく。VOCALOID第1世代において、作曲家は単なるコンポーザーではなく、仮想の歌手をプロデュースする存在として認識されるようになる。

    また、VOCALOID第1世代では、キャラクター自身の心情や、VOCALOIDという存在そのものを扱う楽曲も多く見られた。合成音声ソフトウェアであること、仮想の歌手であること、そして人間ではない声が人間の感情を歌うこと。こうした自己言及性は、VOCALOIDというジャンルの精神性を形作る重要な要素となった。

    音楽的特徴

    VOCALOID第1世代の音楽性は、従来のポップス、同人音楽、インターネットミームが混ざり合ったものである。

    メインボーカリストには、VOCALOID、特にクリプトン・フューチャー・メディア社の製品が多く起用された。また、人間による歌唱では困難な高速歌唱や、機械的な発音を逆手に取った表現も提示された。

    制作予算や制作体制の制約から、生演奏の楽器はほとんど用いられず、ソフトウェア音源やサンプラーが主流であった。このため、VOCALOID第1世代の楽曲には、商業音楽のようにスタジオミュージシャンや大規模な制作体制を前提とするのではなく、コンポーザー個人のDTM環境がそのまま作品の質感を決定していた。

    歌詞面では、キャラクター性を前面に押し出し、キャラクター自身の心情を歌う楽曲が多く見られる。また、黎明期のインターネット文化を背景に、コミカルな作品、性的表現を含む作品、物語性の強い作品、過剰な情報量を持つ作品も多く生まれた。

    楽曲面では、オリジナル曲に加え、既存曲のカバーも多数制作され、コミュニティ内で盛んに共有・二次創作が行われた。これは、VOCALOIDが単に新曲を発表するための道具ではなく、既存の楽曲やインターネットミームを再解釈するための装置としても機能していたことを示している。

    さらに、同人音楽やインターネットミームの文脈を受け継いだ一部の楽曲には、イントロのリフをAメロ後に再現する独特の楽式構造が見られる。その時間芸術としての構造美は、第2世代以降のアーティストにも大きな影響を与えた。この手法は、後年の「ボカロらしさ」と呼ばれる音楽性の確立にも寄与し、VOCALOID音楽における作曲アプローチの重要な指標となっている。

    代表作

    Otomania – VOCALOID2 初音ミクに「Ievan Polkka」を歌わせてみた (2007.9.4)

    2006年4月、フィンランドの伝統的ポルカ『Ievan Polkka』を用いたフラッシュアニメーション「ロイツマ・ガール」が世界的に流行し、その軽快なリズムとコミカルな演出はインターネットミームとして広く拡散された。

    その約1年半後、初音ミク発売からわずか4日後の2007年9月4日に、Otomaniaが「ロイツマ・ガール」をパロディ化した初音ミク歌唱版を発表した。本作は、原曲のユーモラスな魅力と初音ミクのキャラクター性を掛け合わせたことで、ニコニコ動画を中心に人気を集めた。

    この楽曲は、VOCALOIDを「キャラクター」として楽しむ文化の拡大に大きく寄与し、また、VOCALOIDと動画投稿サイトの相互発展を促す契機となった。特に、コミュニティがミーム的要素を取り込み、再解釈していく流れは、その後の二次創作文化の礎となり、VOCALOIDシーンがインターネット文化と密接に結びついていく基盤を築いた。

    ika – 【初音ミク】みくみくにしてあげる♪【してやんよ】 (2007.9.20)

    『みくみくにしてあげる♪』は、初音ミク登場初期を代表するオリジナル曲であり、ファンの間では「神話」と称される存在となった。

    初音ミク発売から約1か月後、コミュニティでは単に歌を歌わせるだけでなく、オリジナル曲制作、3Dモデルの作成、モデルに合わせたダンスモーションの付与、衣装やイラストの制作など、多方面から作品世界を構築する活動が活発化した。こうした一連の行為は、まるで初音ミクという“アイドル”をプロデュースしているかのように見え、その担い手たちは次第に「ボーカロイド・プロデューサー」、すなわち「ボカロP」と呼ばれるようになった。

    本作はその象徴的存在であり、シンプルながらも耳に残るメロディと、初音ミクのキャラクター性を全面に押し出した歌詞・演出が相まって、後続のファン参加型創作文化の原点となった。インターネット黎明期における二次創作と音楽制作の融合を示す歴史的楽曲である。

    kobapie – 「卑怯戦隊うろたんだー」をKAITO,MEIKO,初音ミクにry【オリジナル】修正版 (2007.11.28)

    『卑怯戦隊うろたんだー』は、初音ミクに加え、クリプトン・フューチャー・メディア社の初期VOCALOID製品であるMEIKOとKAITOをボーカリストに起用した、黎明期を代表する多キャラクター参加型オリジナル曲である。

    複数のVOCALOIDを同時に主役として扱う発想は、当時としては新鮮であり、キャラクター間の関係性や役割を物語的に描く手法の先駆けとなった。VOCALOIDを単体の歌声としてではなく、複数のキャラクターによる群像として扱う方向性を示した点で重要である。

    ryo – 初音ミク が オリジナル曲を歌ってくれたよ「メルト」 (2007.12.7)

    ryoによる『メルト』は、VOCALOIDをJ-Pop的な楽曲表現へ接続した代表作である。

    『みくみくにしてあげる♪』のようにキャラクター性を前面に押し出す路線とは異なり、本作はJ-Pop的なメロディとアレンジを積極的に取り入れた点に特徴がある。初音ミクを用いた楽曲でありながら、単なるキャラクターソングではなく、ポップスとして高い完成度を持っていたことが、VOCALOIDに関心のなかった層にも届く契機となった。

    公開当時には「メルトショック」と呼ばれる現象も発生し、ニコニコ動画のマイリスト登録ランキングが『メルト』関連動画で埋め尽くされるほどの反響を呼んだ。本作は、当時の初音ミク人気の絶頂期を象徴すると同時に、第2世代ボカロPの誕生と拡大にも大きな影響を与えた。

    ryo – 初音ミク が オリジナル曲を歌ってくれたよ「ワールドイズマイン」(2008.5.31)

    『ワールドイズマイン』は、初音ミクのアイドル性、キャラクター性、ポップス性を強く打ち出した楽曲である。

    わがままで魅力的なヒロイン像を初音ミクに重ねることで、バーチャルアイドルとしての初音ミク像をさらに拡張した。楽曲、イラスト、動画、キャラクター解釈が一体となって受容された点でも、VOCALOID第1世代を象徴する作品である。

    ryo – 初音ミクがオリジナルを歌ってくれたよ「ブラック★ロックシューター」(2008.6.13)

    『ブラック★ロックシューター』は、hukeによるオリジナルキャラクターのイラストを起点として生まれた作品である。

    先にhukeが「ブラック★ロックシューター」のイラストを発表し、そのイラストに着想を得たsupercellのryoが楽曲を制作した。さらにhukeが映像を手がけ、初音ミク歌唱の楽曲としてニコニコ動画に投稿された。

    この成立過程は、VOCALOID文化が音楽単体で完結するものではなく、イラスト、キャラクター、映像、楽曲が相互に影響しながら展開していく文化であることを示している。『ブラック★ロックシューター』は、楽曲からキャラクター、物語、映像作品へと展開していく流れを象徴する作品であり、後のマルチメディア展開にもつながる重要作である。

    supercell – supercell(自主制作盤:2008.8/メジャー盤:2009.3.4)

    ryoはその後、イラストレーター、デザイナー、ゲストボーカルなど多彩なメンバーを集め、制作集団「supercell」を結成した。

    2008年8月には、自主制作盤として1stアルバム『supercell』を発表。『メルト』『ワールドイズマイン』『ブラック★ロックシューター』などを含む本作は、第1世代VOCALOIDの代表的な成果物である。VOCALOID楽曲が動画投稿サイト上の単発作品にとどまらず、アルバム作品や制作集団として展開していく流れを示した点で重要である。

    cosMo(暴走P) – 初音ミクオリジナル曲 「初音ミクの消失(LONG VERSION)」(2008.4.8)

    『初音ミクの消失(LONG VERSION)』は、BPM240という極端な高速テンポに乗せて畳みかける膨大な歌詞量が特徴の楽曲であり、人間による歌唱は事実上不可能とされる。

    こうした「機械だからこそ可能な歌唱表現」を最大限に活用することで、VOCALOIDという音声合成ソフトの特性を鮮烈に提示した作品である。

    歌詞・テーマは初音ミクのキャラクター性を直接的に題材とし、存在の消失と再生を描く物語構造が盛り込まれている。その結果、本作は「初音ミクのために作られた歌」の象徴的存在として広く認知され、ファンや制作者に強い印象を残した。

    doriko – 「ロミオとシンデレラ」 オリジナル曲 vo.初音ミク (2009.4.6)

    『ロミオとシンデレラ』は、当時アンダーグラウンドで支持を得ていた性的表現を、大衆に受け入れられるポップス的な楽曲構造へと昇華させたことで高い人気を獲得した作品である。

    疾走感のあるバンドサウンドに、恋愛の衝動と禁忌を織り交ぜた歌詞を乗せることで、キャッチーさと背徳感を同時に表現している。このアプローチは、過激さよりも情緒性とドラマ性を重視する方向へとVOCALOID楽曲の表現幅を広げ、第1世代の音楽性の成熟を象徴する一例となった。

    Mitchie M -【調教すげぇ】初音ミク『FREELY TOMORROW』(完成)【オリジナル】(2011.7.31)

    『FREELY TOMORROW』は、その極めて精緻な調声技術によって、初音ミクの歌声を人間のボーカルに迫るほど自然かつ表情豊かに仕上げたことで話題となった作品である。

    公開直後から爆発的な注目を集め、当時としては最速記録である20日6時間4分後には100万回再生を突破した。この異例のスピードは、調声技術への驚きと共に、楽曲そのもののポップでキャッチーな魅力が幅広い層に受け入れられたことを示している。

    本作はその後のVOCALOID楽曲制作において、「人間らしい歌声を追求する」方向性を強く後押しし、技術的アプローチや調声研究の活性化にも大きく貢献した。

    livetune – Tell Your World(CM公開:2011.12/EP発売:2012.3.14)

    『Tell Your World』は、Google ChromeのテレビCMソングとして制作され、日本国内にとどまっていたVOCALOID文化を世界へと広く知らしめる契機となった楽曲である。

    CM映像では、世界中のファンアートやメッセージが映し出され、初音ミクがグローバルな創作コミュニティの象徴として描かれた。このビジュアルと楽曲の組み合わせは、単なる広告の枠を超えた文化的メッセージとして受け止められた。

    リリース後、iTunes Storeのダウンロードランキングで1位を獲得し、商業的にも大きな成功を収めた。本作は、VOCALOIDが日本のサブカルチャーから国際的なポップカルチャーへと飛躍するうえで欠かせないマイルストーンとなり、その後の海外展開やライブイベントの拡大にも影響を与えた。

    後続への影響

    VOCALOID第1世代は、後のVOCALOID文化の基礎を形成した。

    第一に、初音ミクを中心としたキャラクター文化を定着させた。VOCALOIDは単なる音声合成ソフトウェアではなく、歌い手としてのキャラクター性を持つ存在として受容されるようになった。

    第二に、ボカロPという作家像を生み出した。作曲家は、楽曲を書く人物であると同時に、仮想の歌手をプロデュースし、キャラクターや映像と結びついた作品世界を提示する存在として認識されるようになった。

    第三に、VOCALOIDならではの音楽語法を確立した。高速歌唱、反復リフ、過剰な情報量、キャラクターへの自己言及、インターネットミームとの接続などは、後のVOCALOID楽曲にも継承されていく。

    第四に、VOCALOIDをポップカルチャーへ接続した。『メルト』以降、VOCALOIDはJ-Pop的な楽曲としても受容されるようになり、『Tell Your World』によって国内外の広い層へ届く文化となった。

    本稿の整理では、2010年代前半以降、初期のアンダーグラウンドなオタク文化としてのVOCALOIDは中心性を相対的に低下させる一方、VOCALOIDは新たな自己表現の手段として、より広いクリエイター層へ拡張していったと捉える。

    転換点:wowaka

    wowakaは、VOCALOID第1世代後期に登場した作家であり、wowakaの登場はVOCALOID音楽を考えるうえで極めて重要な転換点である。

    wowakaの楽曲は、高速な言葉、反復するリフ、抽象的な歌詞、モノクロの一枚絵によって、作家自身の美学を強く前景化した。これにより、VOCALOID楽曲は「キャラクターが歌う曲」から、「作家の作風が刻印された音楽」へと明確に進んでいった。

    wowakaの音楽的特徴として最も重要なのは、モノフォニックなリフの反復と、それを軸にした独特の楽式構造である。特に重要なのが、「リフ | A | リフ | A | B | C」といった構造である。イントロで提示されたリフが、Aメロ後に再び現れることで、楽曲全体に強い反復性と中毒性が生まれる。歌が始まった後にも再び現れ、楽曲全体を支配する中核的なモチーフとして機能する。リスナーはその反復によって楽曲の輪郭を強く記憶し、同時に、再現されるたびに楽曲の運動性を再確認することになる。

    このリフは、多くの場合、和声的に厚く展開するというより、単線的で輪郭の強いモノフォニックなフレーズとして提示される。そのため、楽曲の中で非常に目立ちやすく、歌メロとは別の中毒性を生み出す。言い換えれば、wowakaの楽曲では、歌詞やメロディだけでなく、リフそのものが楽曲の記名性を担っている。

    本稿では、この構造を「wowaka形式」と呼ぶ。

    また、「一枚絵によって楽曲の世界観を固定する」という感覚は、後年のリバイバル再定義期以降のVOCALOIDシーンにもつながっていく。リバイバル再定義期では、一枚絵や限定されたビジュアル表現が、単なる動画素材ではなく、作家や楽曲のブランド感を形成する重要な要素となった。wowakaの作品は、その流れを先取りした存在として位置づけられる。

    代表作

    wowaka – 初音ミク オリジナル曲 「裏表ラバーズ」(2009.8.30)

    本作では、高速な言葉の連射、反復されるリフ、過剰な情報量が一体となり、VOCALOIDならではの緊張感を持ったポップスが成立している。『初音ミクの消失』に代表される機械的かつ高速な歌唱表現と、『ロミオとシンデレラ』に見られる欲望や倒錯のテーマを接続し、VOCALOIDの表現領域をさらに押し広げた作品である。

    wowaka – 初音ミク オリジナル曲 「ローリンガール」(2010.2.14)

    『ローリンガール』は、反復するフレーズと疾走感のあるバンドサウンドによって、VOCALOID楽曲の内省的・衝動的な表現を強く印象づけた作品である。

    wowaka – 初音ミク・巡音ルカ オリジナル曲 「ワールズエンド・ダンスホール」(2010.5.18)

    『ワールズエンド・ダンスホール』は、wowakaの作風を広く定着させた代表作である。

    初音ミクと巡音ルカのデュエット形式を用いながら、反復するリフ、高速な言葉、ダンスミュージック的な推進力を組み合わせている。第1世代後期から第2世代以降へつながる、VOCALOID的なリフ構造と楽式感覚を考えるうえで重要な作品である。

    物語・コンセプト拡張期


    成立条件

    物語・コンセプト拡張期は、VOCALOID楽曲が単曲単位の投稿作品から、複数曲を通して物語や世界観を構築する表現へと広がり始めた時期である。

    その大きな契機となったのが、2007年12月27日に発売された鏡音リン・レンである。初音ミクが「仮想の歌手」として受容されたのに対し、鏡音リン・レンは、二人の関係性や対になる声質を活かし、物語性の強い楽曲に用いられることが多かった。

    2008年には、鏡音リン・レンを中心とした悲劇的な物語楽曲が相次いで発表され、後に「鏡音三大悲劇」と総称されるようになった。これらの作品は、単曲で完結するだけでなく、対になる楽曲や関連曲を通して、異なる視点や時間軸から物語を描く手法を提示した。

    さらに、sasakure.UK『ワンダーラスト』(2009)、『ボーカロイドは終末鳥の夢を見るか?』(2010)、cosMo(暴走P)『初音ミクの消失』(2010)などによって、VOCALOID楽曲は単なるシリーズ楽曲に留まらず、アルバム全体でひとつの世界観を描く表現へと広がっていった。

    精神性

    この時期の精神性は、「VOCALOIDに歌わせる」ことから、「VOCALOIDを登場人物や語り部として扱う」ことへの拡張にある。特に鏡音リン・レンを用いた作品では、二人の関係性を活かし、主従、姉弟、恋人、囚人と看守、生者と死者のような構図が描かれ、物語の中で役を演じる存在として扱われることが増えていった。

    また、この時期のリスナーは、楽曲を聴くだけでなく、歌詞、動画、コメント、関連曲を読み解きながら、作品世界を補完していった。ここに、後のVOCALOID文化における「考察する楽しみ」の原型がある。

    音楽的特徴

    楽曲単体の完成度だけでなく、楽曲同士の連関によって意味が広がる点が特徴的。

    アンサーソングやシリーズ楽曲としての展開がされ、複数の楽曲が共通する登場人物、舞台、テーマを持ち、それぞれが独立した曲でありながら、全体としてひとつの物語世界を構成する。

    この精神性はコンセプト・アルバム的な構成が誕生することにつながり、アルバム全体を通して一貫したテーマや世界観が提示された。

    代表曲

    mothy – 【鏡音リン】 悪ノ娘 【中世物語風オリジナル】(2008.4.6)

    mothy – 【鏡音レン】悪ノ召使【中世物語風オリジナル】(2008.4.29)

    mothy(悪ノP)による『悪ノ娘』と『悪ノ召使』は、物語・コンセプト拡張期への萌芽を象徴する作品である。

    『悪ノ娘』では鏡音リンを、『悪ノ召使』では鏡音レンを主役に据え、同じ物語を異なる立場から描いている。これにより、単曲では完結しない物語的な奥行きが生まれ、VOCALOID楽曲におけるアンサーソングや視点変更の魅力を広く知らしめた。

    mothy – 【鏡音レン】master of the heavenly yard【鏡音リン】(2018.2.28)

    『悪ノ娘』を含むmothyによる8作品は、通称「七つの大罪シリーズ」と呼ばれる物語世界を形成している。その最終作として2018年に発表された『master of the heavenly yard』は、全12章・約15分にも及ぶ大作で、複雑な物語構成と多彩な楽曲展開を内包する集大成的作品として評価された。

    鏡音三大悲劇

    「鏡音三大悲劇」は、『悪ノ娘』『悪ノ召使』、囚人Pの『囚人』『紙飛行機』、ひとしずくPの『soundless voice』『proof of life』を含む、鏡音リン・レンを主役にした物語性の強い楽曲群である。

    囚人P – 【鏡音レン】囚人 オリジナル 【コラボPV.ver】 前後史曲リンク有 (2008.11.1)

    ひとしずくP – 【鏡音レン】soundless voice 【オリジナル】(2008.10.19)

    これらの作品では、楽曲同士が前後関係や視点の違いによって結びつき、聴き手は複数の曲を通して物語を理解していくことになる。悲劇性、キャラクター性、アンサーソング構造が結びついたことで、VOCALOID文化におけるストーリー楽曲の基盤が形成された。

    sasakure.UK – 【巡音ルカオリジナル曲】ワンダーラスト【PV】(2009.2.2)

    sasakure.UK – ボーカロイドは終末鳥の夢を見るか? (2010.3)

    sasakure.UKの『ワンダーラスト』は、ボーカリストにクリプトン・フューチャー・メディア社の「巡音ルカ」を起用し、その発売からわずか3日後というタイミングで発表された。終末的な世界観と叙情性によって強い印象を残した作品である。

    その後の『ボーカロイドは終末鳥の夢を見るか?』では、複数の楽曲を通して一貫した世界観が構築され、VOCALOIDにおけるコンセプト・アルバム的表現の重要作となった。単曲を投稿して終わるのではなく、アルバム全体でひとつの物語やテーマを体験するという聴取スタイルを提示した点で重要である。

    cosMo(暴走P)- 初音ミクの消失 (2010.08)

    『初音ミクの消失』は、初音ミクの誕生から消失までを一貫したテーマで描いたコンセプト・アルバムである。

    表題曲『初音ミクの消失(LONG VERSION)』に代表される高速歌唱や技巧的な構成は、VOCALOIDならではの音楽表現を示すものである。同時に、アルバム全体では、機械としての存在と人格的感情の間で揺れ動く初音ミクの姿が描かれており、VOCALOIDそのものを物語の主題にした作品としても重要である。

    後続への影響

    物語・コンセプト拡張期への萌芽は、後のVOCALOID文化に大きな影響を与えた。

    第一に、VOCALOID楽曲に「考察する文化」を生み出した。歌詞や動画の意味、登場人物の関係、曲同士の時系列を読み解くことが、リスナーの楽しみ方の一部になった。

    第二に、VOCALOIDを物語メディアとして成立させた。VOCALOIDは単に歌を歌うソフトではなく、登場人物の声、物語の語り部、世界観を提示する装置として機能するようになった。

    第三に、コンセプト・アルバムやシリーズ楽曲の重要性を高めた。単曲の再生数だけではなく、作品群全体としての構成、テーマ、世界観、関連性が評価対象になった。

    この前史を経たことで、後のカゲロウプロジェクトのような大規模な物語型VOCALOIDプロジェクトが成立する土台が整っていった。

    作家主義形成期

    中心時期:2010年〜2012年頃

    成立条件

    作家主義形成期は、黎明・メルトショック期によってVOCALOIDの知名度が急速に高まった後、より高度な音楽性・映像表現・制作体制を持つクリエイターがシーンへ流入したことで成立した時期である。

    黎明・メルトショック期のVOCALOIDは、初音ミクというキャラクターの登場、ニコニコ動画での爆発的な拡散、DTMによる個人制作、そして「仮想の歌手をプロデュースする」という精神性によって発展した。一方で、作家主義形成期では、VOCALOIDキャラクターそのものよりも、楽曲制作者ごとの音楽性、映像表現、世界観、作風が強く認識されるようになる。

    この変化を支えたのが、ニコニコ動画におけるPV付き楽曲の発展である。単に楽曲を投稿するだけではなく、イラスト、アニメーション、動画編集、タイポグラフィ、キャラクターデザインなどを伴った作品が増え、VOCALOID楽曲は「見る作品」として受容されるようになった。

    また、作曲家、作詞家、イラストレーター、動画制作者、演奏家などが分担して作品を制作するチーム制作も定着していった。これにより、VOCALOID楽曲は個人制作の自由さを保ちながらも、商業作品に近い完成度を持つ総合作品へと発展していく。

    © ™/®Internet Co., Ltd. (Public domain)

    さらに、クリプトン・フューチャー・メディア社以外の音源の存在も重要である。インターネット社の「Megpoid(GUMI)」や1st PLACE社の「IA -ARIA ON THE PLANETES-(IA)」などが広く用いられるようになり、VOCALOIDは初音ミク中心の文化から、作家が声質やキャラクターを選択して使い分ける制作文化へと拡張された。

    精神性

    作家主義形成期の精神性は、「キャラクターをプロデュースすること」から「作家自身の世界観を提示すること」への移行にある。

    この時期のリスナーは、「特定のキャラクターの曲」だけでなく、「誰が作った曲か」を強く意識するようになった。つまり、VOCALOID文化の中で、ボカロP自身がアーティストとして認識される流れが強まっていったのである。

    また、動画タイトルに「オリジナル曲PV」と明記される作品が増えたことも象徴的である。ここでは、楽曲と映像が一体となった作品として提示され、VOCALOIDキャラクターは楽曲世界を補強するイメージとして機能することが多くなった。これは、キャラクターソング的なVOCALOIDから、作家の世界観を軸にしたVOCALOIDへの移行を示している。

    音楽的特徴

    重要なのが、「リフ | A | リフ | A | B | C」といったwowaka形式である。黎明・メルトショック期後期の一部楽曲で強く示されたこの構造は、作家主義形成期以降のVOCALOID楽曲に大きな影響を与えた。

    また、VOCAROCKの発展もこの時期の重要な特徴である。リフが重要視されるロックというジャンルは必然的にwowaka形式とシナジーが良く、バンドサウンド、ギターリフ、疾走感、感情の爆発を前面に出した楽曲が大きな支持を集めた。

    代表作

    小林オニキス – 【初音ミク】 サイハテ 【アニメ風PV・オリジナル曲】(2008.1.16)

    『サイハテ』は、作家主義形成期の前段階に位置する重要作であり、VOCALOID楽曲における本格的なアニメーションPVの先駆けである。

    初音ミク発売から間もない時期に発表されながら、楽曲と映像を一体化させた作品として強い印象を残した。当時のVOCALOID楽曲には一枚絵や簡易的な映像を用いた作品が多かったが、本作はアニメーションによって楽曲世界を構築し、後のPV付きVOCALOID楽曲の方向性を示した。

    iroha(sasaki) – 【鏡音リン】炉心融解【オリジナル】(2008.12.20)

    『炉心融解』は、チーム制作型VOCALOID楽曲の代表的作品である。

    コンポーザー、作詞家、イラストレーター、動画制作者が連携して制作され、楽曲、歌詞、映像、キャラクター表現が高度に統合された作品となった。鏡音リンの代表曲であると同時に、VOCALOID楽曲が複数人の専門性によって構築される総合作品へと発展していく流れを示している。

    2009年11月9日にはJOYSOUND週間ランキングで1位を獲得し、公共放送では扱われない過激なテーマを持つ曲として初の快挙を成し遂げた。この出来事は、VOCALOIDがインターネット上のオタク文化という枠を越え、カラオケを介して一般的な若者文化に浸透していく転換点の一つとなった。

    アゴアニキ – 【巡音ルカ】ダブルラリアット【オリジナル】(2009.2.5)

    『ダブルラリアット』は、巡音ルカを代表する初期の重要作である。

    楽曲そのものの親しみやすさに加え、swf形式を活かした動画演出が特徴であり、視聴者が何度も見返したくなるようなギミックを備えていた。VOCALOID楽曲が、音楽だけでなく動画表現や視聴体験そのものを含んだ参加型コンテンツとして成立していたことを示す作品である。

    DECO*27 – 【GUMI】モザイクロール【オリジナル曲PV付】(2010.7.15)

    『モザイクロール』は、GUMIの人気を大きく押し上げた代表作であり、作家主義形成期の中心的な作品である。

    恋愛感情、自己矛盾、疾走感のあるロックサウンド、PV付き作品としての完成度が結びつき、VOCALOIDにおける新しい基準を示した。GUMIという音源の魅力を広く知らしめると同時に、DECO*27という作家のブランドを強く確立した楽曲でもある。

    また、本作は単発のヒット曲に留まらず、『二息歩行』『弱虫モンブラン』などとともに、感情や世界観を連続的に受容する聴取文化にも接続していった。

    結ンデ開イテ羅刹ト骸 (2009.7.6)
    Mrs.Pumpkinの滑稽な夢 (2009.10.12)
    リンネ (2010.7.21)

    ハチ – 【オリジナル曲PV】マトリョシカ【初音ミク・GUMI】(2010.8.19)

    ハチ【オリジナル曲PV】 パンダヒーロー 【GUMI】(2011.1.23)

    ハチは、作家主義形成期においてVOCALOID表現の幅を大きく拡張した作家である。

    『結ンデ開イテ羅刹ト骸』『Mrs.Pumpkinの滑稽な夢』『リンネ』などを経て、『マトリョシカ』では初音ミクとGUMIを用い、狂騒的なリズム、無国籍感のあるメロディ、意味を攪拌したような歌詞、手描き風PVによって強烈な作風を確立した。

    続く『パンダヒーロー』では、ロック調の疾走感と犯罪譚的な歌詞が結びつき、GUMIの声質を活かした荒々しい世界観を提示した。これらの作品は、VOCALOIDをキャラクターソングの枠から解放し、作家自身の美学を前面に出す表現として成立させた。

    164 – 天ノ弱/164 feat.GUMI (2011.5.28)

    『天ノ弱』は、VOCAROCKの確立を考えるうえで重要な楽曲である。

    メタルコアやデスメタルに由来する「ATG型」(At The Gates型)のギターリフが特徴で、疾走感と重厚感を兼ね備えたサウンドは、それまでのVOCALOID楽曲の主流だったエレクトロポップ路線とは一線を画した。この楽曲は、同時期のDECO*27『モザイクロール』と並び、「VOCAROCK」と呼ばれるロック寄りの新ジャンルを確立する契機となり、バンドサウンドとVOCALOIDの融合に対するリスナーとクリエイター双方の認識を大きく変えた。

    黒うさP – 『初音ミク』千本桜『オリジナル曲PV』(2011.9.17)

    『千本桜』は、作家主義形成期を代表する最大級のヒット曲であり、VOCALOID文化が一般層へ広がるうえで重要な役割を果たした作品である。

    和風の世界観、ロックサウンド、大正浪漫的なビジュアル、社会風刺を含む歌詞が結びつき、初音ミクの楽曲でありながら、広くカラオケやカバー文化にも浸透した。

    さらに、メディアミックス展開も盛んで、小説化・漫画化に加え、ミュージカルや歌舞伎などの舞台芸術にも進出。2013年にはピアニストまらしぃによるピアノアレンジ版がトヨタのCMソングに採用されるなど、VOCALOID楽曲が産業広告や伝統芸能の領域にまで進出した先例としても重要である。その文化的波及力は、インターネット発の音楽コンテンツがいかにして社会的認知を獲得し得るかを示す象徴的事例となった。

    じん(自然の敵P) – 【初音ミク】カゲロウデイズ【オリジナルPV】(2011.9.30)

    じん(自然の敵P) – メカクシティデイズ (2012.5)

    じん(自然の敵P) – メカクシティレコーズ (2013.5)

    kemu – 【IA】六兆年と一夜物語【オリジナル曲・PV付】 (2012.4.11)

    『六兆年と一夜物語』は、IAを広く知らしめた代表的VOCALOID楽曲である。発表当時、IAは2012年1月に発売されたばかりの新しいVOCALOIDであり、本作はその声質の魅力を広く知らしめる役割を果たした。

    高速で劇的な展開、物語性の強い歌詞、完成度の高いPVによって、VOCALOID楽曲が音楽・映像・物語を一体化させた作品として成立することを示した。

    Neru – 【鏡音リン】 ロストワンの号哭 【オリジナルPV付】(2013.3.4)

    『ロストワンの号哭』は、鏡音リンを用いたVOCAROCKの代表作である。

    鋭いギターサウンド、強い言葉、学校や自己否定を思わせるテーマ、文字演出を駆使したPVによって、若者の焦燥や怒りを強く表現している。VOCALOIDの声が、単なる可愛らしいキャラクター表現ではなく、社会や自己への違和感を叫ぶ媒体として機能し得ることを示した作品である。

    n-buna -【初音ミク】 ウミユリ海底譚 【オリジナル曲】(2014.2.24)

    『ウミユリ海底譚』は、透明感のあるサウンドと詩的な情景描写によって、n-bunaの作風を強く印象づけた楽曲である。

    本作の成功を経て、n-bunaはロックバンド的編成と女性ボーカルsuisを迎えた音楽ユニット「ヨルシカ」を結成。YouTubeに投稿された複数のMVが1億回再生を超えるなど、日本の音楽シーンを代表する存在となり、インターネット発アーティストがメジャーシーンへ進出する流れを象徴する事例ともなった。

    40mP -【初音ミク】恋愛裁判【オリジナルMV】(2014.6.10)

    『恋愛裁判』は、YouTubeでの拡散と海外リスナー層の獲得を考えるうえで重要な作品である。

    明るくポップな楽曲、カラフルでテンポ感のあるアニメーション、分かりやすい物語性が組み合わさり、ニコニコ動画中心だったVOCALOID楽曲の視聴環境がYouTubeへ広がっていく流れを示した。後のVOCALOID楽曲におけるグローバル展開やYouTube発信戦略にも接続する作品である。

    Kikuo – 愛して愛して愛して (2015.3.6)

    狂気、依存、不安、美しさが同居するサウンドと歌詞によって、国内外のリスナーから強い支持を集めた。YouTubeを通じて海外にも広く受容された点で、VOCALOID文化の主戦場がニコニコ動画からYouTubeへ移っていく流れを象徴する作品の一つである。

    商業越境期

    リバイバル再定義期

    双方向拡散期