Spiritual

Spiritual

概要

発祥:18世紀 アメリカ

全盛期:19世紀

17世紀頃、奴隷としてアメリカ大陸に連行されたアフリカ人は、彼らの言語や宗教など全てが剥奪された。そんな苦しい状況下で、奴隷化されたアフリカ人は自分たちだけで祈りの会合を開くことを許可されていた。そこでは自分自身を表現し、感情を表現するために歌を歌う場として用いられた。そこでは、奴隷労働のために白人から教わった最低限の言葉から成り立つ単純なフレーズを反復し、それを骨や手拍子など手近なものを用いたアフリカ的なリズムに乗せて歌っていた。

18世紀、黒人は次第に白人音楽の影響を受けるようになり、奴隷主にヴァイオリンなど西洋の楽器を教え込まれ、夜会や舞踏会で演奏に加わる黒人も少なくなかった。このことに注目したキリスト教の宣教師は、黒人の音楽的要素に着目し、詩篇と讃美歌集をキリスト教の教化(第二次大覚醒運動)に活用した。結果、黒人特有の宗教歌 Spiritual が生まれ、それらは黒人だけの「キャンプミーティング」と呼ばれる福音伝道集会、教会の礼拝などで歌われるようになった。しかし「踊ること」と「ドラムを用いること」は唯一禁止され、その結果として個性的な音楽性が発展していった。そのような音楽は生活の中で育まれ口頭で伝えられる歌、すなわち民謡として後世まで伝えられた。

19世紀になると音楽的価値が認められるようになり、1867年には Spiritual の136曲の楽譜が収録された『Slave Songs of the United States』が出版された。これは、初めてアフリカンアメリカンの音楽が収録された本としても話題になった。

現在歌われる Spiritual のほとんどは、南北戦争前後、つまりこのころに採譜され収集されたものが原形となっている。

影響を受けたジャンル

  • Work Song / Field Holler

労働歌。「Preacher(説教者)」と呼ばれる人(一般的には牧師)から歌い出し、それに聖歌隊や会衆が応えるように歌う「コール & レスポンス」の形態はここから影響された。

 

  • Griot

西アフリカの伝統音楽。弦楽器を手に取り、弾き語りをするスタイル。バンジョーを用いるスタイルはここから影響された。

 

  • その他、アフリカの伝統的音楽 全般

シンコペーションのリズム、鍵盤楽器などでは表現できない独特の訛りである「クオーター」「ブルー・ノート」などと呼ばれるスケールはここから取り入れられた。

 

以上の要素を従来の賛美歌に当てはめて独自に発展していったものが Spiritual である。

音楽的特徴

楽器

  • ボディパーカッション
  • 手拍子
  • 「バニア、バンジュール、バンジャー」などと呼ばれたバンジョーの先駆け

 

特徴的な奏法

  • インプロビゼーション(即興的要素)の多用
  • 咄嗟にブルーノートを加えるなど、演奏者が即興的にオリジナルの要素を加えるスタイル。

 

歌唱の奏法

  • 「Straining preacher(張り詰めた説教者)」と呼ばれる、歌の中でユニークな音を出すように声をかける奏法。
  • 「the」は「de」、「that」は「dat」と発音する独特な訛り。

 

その他

  • ボディー・アクションの多用

 

代表曲

(文献が一切)ないです

(『Slave Songs of the United States』に収録された曲とか調べてみても、現代のポップ歌手、ゴスペル歌手がカバーしたバージョンしか出てこ)ないです

 

議論

「奴隷としてアメリカに強制連行された黒人は、苦しい状況下に救いを与える福音(ゴスペル)と出会い、神に独自の賛美歌を捧げるようになった」という解釈は誤りである。

結果だけ見ると間違ってはいないが、途中経過や因果関係は事実と異なっている。

 

派生したジャンル

影響を与えたジャンル

参考文献

Wikipedia

その他


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