Rock’n’Roll / Rockabilly
概要
発祥:1950’s 初頭
全盛期:1954’~60’s 初頭
1950年代のアメリカでは、黒人ならジャズやブルース、中西山岳部の白人ならカントリーといったように、人種や住んでいる場所で好む音楽が異なっていた。しかし1951年、DJだった”Alan Freed”が自身の白人向けラジオ番組で R&B を Rock’n’Roll と称して流し出したのがきっかけに、Rock’n’Roll は人種、階級、住んでいる場所などに囚われない新しい音楽として広く普及した。
1954年、白人の”Bill Haley”による『Rock Around the Clock』が映画の主題歌になったことで大ヒットを記録し、世界的なロックンロール・ブームが起こることとなる。
1956年、くねくねと腰を振り、挑発的なパフォーマンスする“Elvis Presley”がデビューし、前代未聞の大ヒットを記録し、全盛期を迎える。このことより、アーティストが主導して楽曲を製作するのではなく、企業によってシステム的に音楽が制作される勢力が台頭するようになった。
1959年、Rock’n’Roll のアーティストだった”Buddy Holly”、”Ritchie Valens”、”J.P “Big Bopper” Richardson”による飛行機事故(「音楽が死んだ日」)をきっかけに、1950年代末から1960年代初頭にかけて、Rock’n’Roll のスターたちがスキャンダルや懲役や徴兵で次々と表舞台から姿が消え、Rock’n’Roll は勢いを失った。
影響を受けたジャンル
主に上記2ジャンルが融合して生まれた。どちらのジャンルの影響が強いかで呼び名が変わる。
音楽的特徴
楽器:ボーカル、ギター、ベース、ドラム
楽式:古典ブルース形式
旋律:徐々にブルースノートから逸脱していき、最終的にはいわゆるダイアトニックスケールがベーシックな旋律として用いられた。
代表曲
- Jackie Brenston and his Delta Cats – Rocket “88” (1951.4)
“Rocket “88””はレコーディングに初めて意図的に歪ませたギターが使われた曲として有名である。後にこの曲を聞いた音楽プロデューサーの”Sam Phillips”が“Elvis Presley”の曲に用いることとなる。
- Bill Haley & His Comets – Rock Around the Clock (1954.5)
“Bill Haley”は1950年代中期に興るロックンロールブームの先駆者の1人。
『Rock Around the Clock』は「ロックンロールの古典」と呼ばれ、ブルーノートではなく長音階を意図して作られた曲として有名である。リリース翌年、アメリカ映画「Blackboard Jungle」の主題歌になったことで大ヒットを記録し、世界的なロックンロール・ブームが起こることとなる。
- Elvis Presley – Heartbreak Hotel (1956.1)
- Elvis Presley – The Sun Sessions (1976.5)
“Elvis Presley”は「キング・オブ・ロックンロール」または単純に「キング」と呼ばれ、20世紀の音楽の中で最大級のムーブメントを引き起こした。『Heartbreak Hotel』はその中でも特に著名な曲である。
1976年にリリースされたベストアルバム『The Sun Sessions』はローリング・ストーン誌の「オールタイム・グレイテスト・アルバム500』で9位を記録した。
- Jerry Lee Lewis – Whole Lot of Shakin’ Going On (1957.4)
“Jerry Lee Lewis”は「The Killer」と呼ばれ、ロックンロールの先駆者として有名。
- Chuck Berry – Johnny B. Goode (1958.3)
- Chuck Berry – The Great Twenty-Eight (1982)
“Chuck Berry”は最初期のギターヒーローで「ロック界の伝説」「ロックンロールに別名を与えるとすればチャック・ベリーだ」などと敬われ、British Invasion の誕生や後年のギタリストに影響を与えた。
特に『Johnny B. Goode』は人気を博した楽曲で、その特徴的なイントロは他の曲に引用されることが多かったり、世界中のアーティストによってカバーされている。
1977年、ボイジャー計画におけるゴールデンレコードに収録された。
1982年に発売されたベストアルバムの『The Great Twenty-Eight』はローリング・ストーン誌の「オールタイム・グレイテスト・アルバム500』で21位を記録した。
- Link Wray & His Ray Men – Rumble (1958.4)
『Rumble』は Doo-wop の伴奏からヒントを得て作られた曲だと言われており、インストゥルメンタルでありながらもその脅迫的なタイトルやサウンドから少年犯罪を助長すると言われ、ラジオ局で放送禁止処分令が発令された。
『Rumble』ではギターの奏法である「トレモロ奏法」に加え、世界初の「オーバードライブ・サウンド」「パワーコード」も聞くことができる。”Link Wray”のサウンドと奏法は後のギタリストに影響を与えた。
議論
歌唱の技術として、
- 口ごもったような「マンブリング唱法」
- 語尾をしゃくりあげる「ヒーカップ唱法」
- ハミングのような「ホンキートンク唱法」
といったものが使われることが多いと言われることがあるが、これらの特徴のほとんどは “Elvis Presley” もしくは “Chuck Berry” に当てはまることであり、Rock’n’Roll 全体に言える話ではない。
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