Rock
概要
発祥:1960’s前半 イギリス リバプール
全盛期:1964’~1970’
1950年代後半、イギリスの大都市圏の若者は廃れつつあった Skiffle に代わる新しい音楽を探していた。そんな中、海の玄関口で海外から多くの労働者が訪れていたリバプールではパブやレコード店が多く存在し、アメリカの Rock’n’Roll、R&B、ブルースに熱中する若者が生まれた。
1960年代前半、アメリカでは Rock’n’Roll のブームが終息し、スター不在の中、人々は白人アイドルによる甘く健全なポップスを聴いていた。そこへ周到なプロモーション戦略のもと、1964年にリバプール出身のバンド“The Beatles”がアメリカに上陸し大成功を収め、彼らの音楽は世界中に広まった。これを機にリバプール出身でないイギリスのバンドも続々とアメリカに進出し、それらを包括して British Beat、もしくは従来の Rock’n’Roll と区別して Rock と呼ばれるようになる。リバプール出身のバンドだけを指す場合は Mersey Beat と呼ばれることもある。
影響を受けたジャンル
ギターリフが半音もしくは全音を行き来するスタイルや、大音量でエレキ・ギターを掻き鳴らすスタイル
音楽的特徴
楽式
古典ブルース形式は | A | A’ | B | のように4小節の塊が3つ集まったものだったが、Rock はそこからやや逸脱している。
- | A | A’ | A | A’ | B | のようにAパートが増える
- | A | A’ | B | が続いた後に | C | C’ | と新たなパートが入る
- | A | A’ | B | と | A | A’ | B | の間に、フレーズや展開の架け橋となるブリッジが入る。
ブリッジはよく2小節か、Aパートと同じか半分の長さが入る。 - モチーフが8小節単位になる
- Bパートで小節数が奇数になる
などが挙げられる。
その他
旋律:ダイアトニックスケール
コード進行は古典ブルース形式から逸脱し、小節おきに変わることが多い。
以上のように Blues や Rock’n’Roll とは違った音楽性を見せるも、それらから完全に逸脱しているわけではなく、様々なところから古典ブルース形式の影響が垣間見える。
代表曲
- The Beatles – Please Please Me (1963.3)
“The Beatles”は20世紀を代表するアーティストの1人である。1963年にデビューアルバム『Please Please Me』をリリースし、イギリスのヒットチャートで30週連続で第1位を記録した。
自ら作詞作曲し、それを演奏する彼らのスタイルは珍しく、ロックンロール・バンドのスタイルを変化させた。
- The Beatles – She Loves You (1963.8)
- The Beatles – I Want to Hold Your Hand (1963.11)
1964年、アメリカで『I Want to Hold Your Hand』が8週連続第1位、年間ランキングでも第1位を記録し、今まで評価されなかった『She Loves You』などの過去作がヒットし、彼らの人気を決定づけた。2曲はそれぞれミリオン・セラーとなり、『I Want to Hold Your Hand』は全世界で1,200万枚をセールスし、世界歴代シングル売上第5位を記録した。
・The Kinks – You Really Got Me (1964.8)
“The Kinks”はイギリスのロンドン出身のバンドで、それまでに出した2枚のシングルがチャート入りすらしていなかった。そんな中リリースされた『You Really Got Me』は、イギリスで1位、カナダで4位、アイルランドで6位、アメリカで7位を記録するなど、世界中でヒットした。この曲のヒットでバンドはブレイクを果たし、British Beat の代表的バンドの一つとなった。
『You Really Got Me』は、”The Who”の『I Can’t Explain』が生まれるきっかけになったり、後に有名になる、“Led Zeppelin”のギタリスト”Jimmy Page”、”Deep Purple”のキーボーディスト”Jon Lord”などがレコーディングに参加していたと言われている。
パワーコードを使った最初期の曲だと言われ、後年の Hard Rock、Heavy Metal、Punk などに影響を与え、1978年に”Van Halen”が、2009年に“Metalica”が同楽曲をカバーした。
ローリング・ストーン誌の「オールタイム・グレイテスト・ギター・ソングス100」にて4位を記録した。
- The Who – I Can’t Explain (1964.12)
- The Who – My Generation (1965.10)
“The Who”は、大音量でギターを搔き鳴らし、ギターやドラムセットを破壊するなど派手で暴力的なパフォーマンスが特徴的で、後のパンクのアーティストらに影響を与えた。“The Jimi Hendrix Experience”のドラマー”Mitch Mitchell”がサポートで在籍していたこともある。
2011年の「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において、ギタリストの”Pete Townshend”が第10位にランクインした。
デビュー・シングル『I Can’t Explain』では全英8位、3rdシングル『My Generation』では全英2位を記録し、イギリスの若い労働者である「モッズ (Mods、Modernism or sometimes Modism)」を中心に人気を博した。
『I Can’t Explain』は、“David Bowie” (1973)、”Scorpions” (1989)、”Iggy Pop” (2012)などによって、『My Generation』は、”Patti Smith” (1976)、”Green Day” (1992)、”Iron Maiden”(1996) が、”Oasis” (2002) などの Hard Rock、Heavy Metal、Punk といったアーティストによってカバーされた。
- The Rolling Stones – (I Can’t Get No) Satisfaction (1965.6)
全米のシングルチャートで4週連続1位となり、アメリカだけで150万枚を売り上げた。全世界での売り上げは500万枚と言われている。
ローリング・ストーン誌の「オールタイム・グレイテスト・ソング500」において2位を記録している。
派生したジャンル
影響を与えたジャンル
・Garage Rock
・Punk
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