Ragtime
概要
発祥:19世紀後半 アメリカ
全盛期:1897’〜1918′
1860年代、南北戦争が終わり、黒人たちは奴隷から開放された代わりに生きるために自分で稼いでいく必要があった。仕事を求めた黒人は、ルイジアナ州の港町ニューオーリンズに集まり、ダンスホールや酒場で歌ったり演奏をして生活するようになった。戦後ということもあり、軍楽隊の楽器を庶民が格安で手に入ることができ、トランペットやサックス、ドラムなど軍隊のマーチング用楽器が急速に普及した。このような要素が合わさり、黒人がマーチング楽器を演奏するスタイルの新しい音楽 Jazz(当時は Jass と呼ばれた)が生まれた。そしてそこに、黒人の中でも比較的裕福なクレオールと呼ばれる身分の人たちがクラシック音楽を伝えたことにより、アフリカ音楽と西洋音楽が融合することとなった。
19世紀後半、黒人のアフリカン・アメリカンのミュージシャンがピアノ演奏をする際にルーツ音楽を基本とするシンコペーションを多用したメロディーと、マーチに起因する伴奏を融合させた独自の演奏スタイルを編み出してゆき、これが従来のクラシック音楽のリズムとは違った「ずれた」リズムと思われたことから Ragged-time 略して Ragtime と呼ばれるようになった。
Ragtime は当時短時間しか録音できなかったレコード、ピアノロール、自動ピアノなどに取り入れられ、アメリカの20世紀文明とともに急速に広まった。このリズムを用いた楽曲が第一次世界大戦後まで広く歌われた。
1920年代初めには Jazz が主流となり人気を失うも、1970年代に映画『スティング』などの影響もあり再び人気を博すこととなった。(人気が出たから『スティング』が公開されたのか、『スティング』が公開されたから人気が出たのか、順序は不明)
影響を受けたジャンル
それまでの黒人音楽のポピュラーソングだったもの。シンコペーションのリズムはここから影響された。
・Cakewalk
19世紀末にアメリカ合衆国南部で発祥したダンスミュージックで、2拍子の軽快なリズムからなる。20世紀にヨーロッパへもたらされ流行した。またアメリカ南部へ逆輸入されジャズの起源のひとつともなった。
・Jigs
16世紀のイギリスで発祥したダンスミュージックで、8分の12拍子、8分の9拍子などの複合拍子が特徴的。
・American March Music
軍隊のマーチング楽器が使われるようになったのはここから。
Classical Music にこれらのダンスミュージックを取り入れたものが Ragtime となった。
音楽的特徴
楽器
ピアノ、ドラム、トランペット、コルネットなどのマーチング用楽器。
リズム
シンコペーションが主体的で、裏拍を強調したリズムが特徴的。
代表曲
- Scott Joplin – Maple Leaf Rag (1899)
- Scott Joplin – The Entertainer (1902)
“Scott Joplin”は「ラグタイムの王」と呼ばれる。存命中は重要な作曲家としては認知されず、1970年代になってようやくその音楽が見直された。
1973年、映画『スティング』の中で『Maple Leaf Rag』『The Entertainer』などが使われ大ヒットし、音楽部門でアカデミー賞を得た。
- Al Jolson – Swanee (1919)
『Swanee』は Ragtime 末期を代表する曲で、クラシック音楽の作曲家だった”George Gershwin”が Ragtime に影響を受けて作られた曲である。この曲を気に入った人気歌手の”Al Jolson”が歌ったレコードがヒットし、”George Gershwin”は一躍人気ソングライターとなった。
バンド形態は Ragtime 初期と大きく変わるものの、裏拍を強調したリズムは健在で、まさに Jazz への移行期の代表曲であると言える。
派生したジャンル
影響を与えたジャンル
・EUROBEAT
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