Proto-Hard Rock
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概要
発祥:1960’s半ば イギリス
全盛期:1967’~1970’s前
1960年代後半、従来のブルースと新しい音楽である Psychedelic Rock を融合し、新しいスタイルを呈示してみせるバンドが台頭する。特にアメリカから渡英してきた”Jimi Hendrix”や、彼に影響されたブルースがルーツのギタリスト”Eric Clapton”などが中心となって新しいロックの基礎を築いた。そして少し後に台頭してきた”Led Zeppelin”によって、彼らの音楽は「ギター主導の音楽」と呼ばれた。
影響を受けたジャンル
ブルース・ノートやナチュラル・マイナー・スケール中心のスタイル
ギターを歪ませ大音量で演奏するスタイル
歪ませたギターでリフを演奏するスタイル
曲中にギターが即興演奏、もしくは決められた長尺のフレーズを演奏するスタイル
音楽的特徴
当時世間を圧巻していた”The Beatles”の影響は少ない。
- Blues を基調とした縦ノリのリズムとサウンド
- Jazz を基調とした即興演奏やスケール
上記の特徴より、黒人音楽を白人が解釈した Rock’n’Roll (Rockabily) や Doo-wap のような音楽ではなく、黒人っぽさを追求した音楽となっている。
- アンプの大音量によってオーバードライブ状態にして歪ませたギターサウンド
- ディストーションやファズなどのエフェクターによって歪ませたギターサウンド
- ギターリフ主体的でコード進行という概念が少ない
- メインメロディーはボーカルではなくギターが奏でることが多い
- 曲中に長尺のギターソロが入る
上記の特徴より、楽曲はギターが中心となり、バンドもギタリストが主体となって主導していくことが増えていった。
ギターソロのフレーズにはよくペンタトニック・スケールが用いられる。
楽式:複合三部形式
| (序奏) | 主部 | 中間部 | 主部 | (コーダ) |
主部は「A パート」と「B パート」に分かれ、よく
- | A | B | A |
- | A | A’ | B | A |
- ||: A :||
など、自由に構成される。尺は中間部に比べて短い。
中間部はギターの即興演奏で構成され、尺は様々である。
二度目の主部は、一度目の主部と同一であることが多い。
曲頭に序奏が入ることがあり、その場合は主部の「A パート」からボーカルを抜いたものが入ることがほとんどである。
曲尾ではコーダが入ることがあり、主部が繰り返されたり、また違ったソロパートが挿入されたりなど多様である。
代表曲
- The Jimi Hendrix Experience – Are You Experienced (1967.5) : Purple Haze
“The Jimi Hendrix Experience”の黒人ギタリスト“Jimi Hendrix”は「史上最高のロックギタリスト」と呼ばれ、ギタリストとして非常に高い技術と表現力を備えていただけではなく、画期的な技法の考案によってギターの可能性をそれ以前とは比較にならないほど拡大したことや、奇抜なファッションや派手なステージアクションをすることで有名である。エフェクターを多用することで知られ、ファズ、ワウペダル、ユニヴァイブ、オクターバーなどの発展に貢献した。
『Are You Experienced』に収録されている曲はロックのスタンダードと見なされ、特に『Purple Haze』(アメリカ版のみ収録)は「ヘンドリックス・コード」と呼ばれるサイケデリックな響きのするコード(Jazz でよく使われていた dominant 7 #9)が用いられ、ロック界に激震をもたらした。
ローリング・ストーン誌の「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」で15位を記録した。
- Blue Cheer – Vincebus Eruptum (1968.1) : Summertime Blues
“Blue Cheer”はしばしば「最初のヘヴィメタル・バンド」と呼ばれ、1stアルバムの『Vincebus Eruptum』は「Psychedelic Rock の模範」とも呼ばれ、イギリスで11位を記録した。
シングルカットされた『Summertime Blues』では、突然テンポが変わったり、サイケデリックなギターソロパートを聞くことができる。オランダで1位、カナダで3位、イギリスで14位を記録した。
- Cream – Disraeli Gears (1967.11)
- Cream – Wheels of Fire (1968.8)
“Cream”は元々、Blues や Jazz に根付いた音楽を演奏していたが、“Jimi Hendrix”やサイケデリック・ムーブメントの影響によって音楽性を大きく変化させた。
『Disraeli Gears』はイギリスで5位、アメリカで4位、オーストラリアで1位、『Wheels of Fire』はイギリスで3位、アメリカ・カナダ・オーストラリアで1位を獲得し、Hard Rock の基礎を築いた。
ディスク2では16分を超える楽曲が2曲収録されており、ロックにおける長尺思考の先駆けのアルバムとも言える。
- Led Zeppelin – Led Zeppelin (1969.1)
- Led Zeppelin – Led Zeppelin II (1969.10)
“Led Zeppelin”は激しいドラミング、絶叫するボーカル、ブルースに根付いたシンプルで強烈なギターフレーズ、曲間に長尺のサイケデリックなギターソロパート、ドラムソロパート等を挟む等、当時の流行とはかけ離れた面も見せながらも、『Led Zeppelin II』では英米でともにアルバム・チャート1位を獲得した。
- Derek and the Dominos – Layla and Other Assorted Love Songs (1970.11) : Layla
“Derek and the Dominos”は”Cream”と同じギタリスト”Eric Clapton”が所属するバンドで、『Layla and Other Assorted Love Songs』は”Cream”のようなブラックミュージックや既存のロック、ブルースからヒントを得たような作品ではなく、ギターの美しさを追求した作品となっている。
その中でも『Layla』は”Eric Clapton”とスライドギタリストの”Duane Allman”による印象的なギターフレーズ、ドラマーの”Jim Gordon”によるピアノ伴奏などの要素が相まって「ロックの傑作」と呼ばれた。
議論
・The Beatles – The Beatles (1968.11) : Helter Skelter
ギターの音が大きく歪んだものであるため、Hard Rock と見なされることがあるが、Blues 由来のコード進行やフレーズを多く用いているため、Blues Rock をハードにしたものや、Proto Punk の古典と見なすのが賢明である。
- Jimi Hendrix – Band of Gypsys (1970.3) : Machine Gun
『Band of Gypsys』は“Jimi Hendrix”が1969年に結成したバンド“Band of Gypsys”によるライブアルバムで、彼の生前最後のアルバムでもある。ジャムセッションに近いライブ演奏だったのに加え、“Band of Gypsys”は全員がアフリカ系アメリカ人で構成されたことにより、Funk、R&B、Blues などのブラックミュージック色が強く出ている。
その中でも『Machine Gun』は彼の非凡な長尺即興演奏を聞くことができる。しかしギターリフ主体的ではないため、Hard Rock とは言い難い。
- Led Zeppelin – Led Zeppelin IV (1971.11) : Stairway to Heaven
『Stairway To Heaven』は“Led Zeppelin”の代表作と見なされるが、楽式は三部で構成される変奏曲、リフではなくコード主体的、歪ませたギターサウンドは少ないなど Hard Rock とは言えない要素があまりにも多く見受けられる。むしろロックではなく、Folk、Celtic Music、Hillbily、その他 Trad、それらを取り入れた Roots Rock などの影響の方が大きく感じられる。
また、そもそも『Led Zeppelin IV』全体が Psychedelic Rock、Progressive Rock の影響を受けているため、『Stairway To Heaven』も同様に様々なジャンルを取り入れたと考えるのが懸命である。その場合、『Stairway To Heaven』は単一ジャンルで語ることはできず、ロック、フォーク、カントリーなど、当時の流行の最先端を全て取り入れたロックの集大成と言えるのではないだろうか。
派生したジャンル
影響を与えたジャンル
・第2世代
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