Delta Blues
概要
発祥:19世紀末
全盛期:1920’~40’ / 1964’
1865年の奴隷開放宣言によって、法的に奴隷制が廃止された。黒人たちは自由の時間を得るようになり、生活の変化よって彼らの娯楽や歌う音楽にも変化が訪れた。
従来の黒人音楽は教会で歌う Spirtual のように「集団」で歌うものだったのに対し、「個人」もしくは「自分自身」の心境を歌うようになった。そこから「恋」「セックス」「金」などについて歌ったブルースが生まれた。
その中でも、”Charley Patton” によるミシシッピ州デルタ地域が発信のブルースは Delta Blues と呼ばれ、後に彼の音楽は全米へと広がっていくこととなる。
1920年にブルースが録音されるようになると黒人を中心に人気を博し、アンダーグラウンドで徐々に成長していった。
1950年代に Chicago Blues が人気を獲得すると同時に Delta Blues は廃れたが、1960年代のフォーク・リバイバルによって知名度が上がり、全世界で大ヒットした。
影響を受けたジャンル
それまでの黒人音楽のポピュラーソングだったもの。これを根幹に、以下のものが取り入れられた。
・Ballads
ヨーロッパ民謡が起源のポピュラーソング。12小節を繰り返す「ブルース形式」はここから取り入れられた。
特筆すべき音楽的特徴
旋律:ブルースノート
楽式:ブルース形式
| C7 | C7 | C7 | C7 |
| F7 | F7 | C7 | C7 |
| G7 | G7 (F7) | C7 | C7 |
楽器
- アコースティック・ギター
- ボーカル
Spiritual とは違い「個人」で演奏するものがほとんどである。「集団」で演奏されるものは Jazz に分類される。
歌詞には様々な常套句がある。
- I wake up this morning.
- I don’t know what to do.
- I leave this town.
- I’m going to Louisiana and get me a mojo hand.
- The sun is going to shine in my back door some day.
曲名にはしばしば「〜Blues」と付く。
代表曲
- Charley Patton – Shake it and Break it (But Don’t Let It Fall Mama) (1929.6)
- Charley Patton – A Spoonful Blues (1929.6)
“Charley Patton” は「デルタ・ブルースの父」と呼ばれ、ミシシッピ州デルタ地域の音楽に大きく影響を与えた。演奏中のパフォーマンスが派手で、背中や股の下で弾くといった、いわゆる曲芸弾きを世に広めたと言われている。
- Son House – My Black Mama (1930)
“Son House” は商業的にヒットしなかったものの、1964年のフォーク・リバイバルによって再発見された。『My Black Mama』はその中でも特に有名な曲である。
“Son House”は他のブルース ミュージシャンとは違って長寿であるため、初期のブルースの奏法が動画として後世に残すことができたと言われている。
- Robert Johnson – Cross Road Blues (1937.3)
- Robert Johnson – Sweet Home Chicago (1937.8)
- Robert Johnson – The Complete Recordings (1990.8)
“Robert Johnson” はブルースを語るには外せないキング・オブ・ブルースで、後世のギタリストに絶大な影響を与えた。没後、1930年代に録音された音源をまとめたアルバムが全世界で大ヒットし、グラミー賞を受賞した。
議論
- Mamie Smith and Her Jazz Hounds – Crazy Blues (1920)
世界で初めて録音されたブルースだと言われているが、演奏形態や音楽性を鑑みると Jazz と捉えるのが適切である。
派生したジャンル
影響を与えたジャンル
Blues
Country Music
Pops
Rock
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